女子ログ 楽しい技能教習

 30代も後半になり一念発起、運転免許をとるために教習所に通い始めた。どうせなら楽しく、と思っていくつか学校見学し、設備が新しく、若い先生が多い教習所に決めた。

 ところが、技能教習当日、私の担当として助手席に座っていたのは60歳前後の男性。その貫禄に圧倒され、ハンドルを持つ手にじわりと汗がにじんだ。

 夏休みを利用して教習に来た学生と、若い先生が楽しそうに校内コースを走るのを横目に、私と先生の教習は淡々と進んだ。そして、「楽しく」とは言えないが、何とか仮免許を取得し、路上教習が始まった。

 走るのは見慣れた丸亀の街。いつものごとく無言で運転していると、先生がにぎやかな大通りを指さして言った。「この辺は昔、塩田だったんよ」。運転に集中していた私は礼儀もわきまえず「へーっ!」と叫んだ。

 その後も「この敷地は元々こたつ工場」「これはうちの本家の墓」「あれはこの前爆発した花火工場」と教習コースの道案内をしてくれた。見慣れた街に、こんなにたくさんの歴史とストーリーがあったなんて! 「へーっ!」と声を上げるたびに胸が満たされてゆくのを感じた。

 楽しい技能教習はあっという間に終わり、あとは学科試験に合格するのみ。無事に運転免許を取得して、また丸亀の街をドライブするのが楽しみだ。

 (雲南市出身、香川県丸亀市在住・ゆかりんご)

2017年10月3日 無断転載禁止