政治の行方 第1部・戦いの構図(3) 鳥取1区

自民 足元にほころび 

   共闘崩れ野党手詰まり感

 「自民党なのに、政権を批判し過ぎている」

 9月30日、自民党前職の石破茂元地方創生担当相(60)=10期=の選対幹部は、鳥取市内で、複数の同党支持者から厳しい言葉を浴びせられた。

 党総裁をうかがう石破氏は積極的にメディアに露出し、憲法論議などで公然と安倍晋三首相の批判を繰り返す。安倍1強の党内の議論を活性化するためとはいえ、肝心の党内支持拡大は成果が乏しいだけに、見かねた苦言だった。

 後援会を中心に鳥取県初の首相待望論は根強い。同じ日に倉吉市議選立候補者の応援に入った石破氏を、候補者の選対幹部が「国政の最上段に立つのは県民全員の願い」と持ち上げた。石破氏が自派前職の応援で全国を飛び回る中、留守を預かる陣営は待望論をあおり「圧倒的勝利を」と集票を促す。

 ところが、戦いの構図は民進党の候補擁立が難航し共産党新人の塚田成幸党県東・中部地区委員長(53)との対決が濃厚。2012年、14年もほぼ同様で、3回連続とあっては、冷めた空気が漂う。実際、鳥取市内の自民党支部の中には、公示直前まで会合を開かないところもある。

 体制にも不安を抱える。6月の県議会議長選を巡って、自民党の会派は二つに分裂。今選挙で選対本部長を務める山口享県議に反発したグループの一部議員は9月26日の選対会議に姿を見せず、しこりが残ることをうかがわせた。

 総裁選出馬後、党幹事長として臨み、得票率84・5%をたたき出した12年衆院選のような熱気に欠け、山口選対本部長は「得票率は落ちるかもしれない」と懸念。安倍首相の強引な政治手法とは違う石破氏の「誠実さ」をPRする狙いだが「反安倍」が目立つと、再び党支持者の反発を招きかねないジレンマを抱える。

全国会議で問い詰め

 盛り上がりに欠けるのは野党にも責任がある。

 「落下傘候補の擁立の可能性はあるか」

 9月30日に東京都内であった民進党全国幹事長会議で、同党県連の興治英夫幹事長が問い詰めた。今春から事実上ストップしていた候補者選びは看板が「民進党」から新党「希望の党」に変わることで、3回連続不戦敗の阻止へいちるの望みを託す。

 党本部の返答は「意中の選挙区であぶれた人が望めば、検討する」で、現状が劇的に改善したとは言い難い。公示まで1週間ほどに迫った中、擁立できたとしても準備不足が明らかで、対戦相手は希望の党の代表・小池百合子東京都知事と近い石破氏。自民党内からは「石破氏に配慮して立ててこないだろう」との見方が出る。

 あおりを受けるのが連合鳥取だ。小池氏が安全保障や憲法観で選別する方針を示して連合が反発する中、選挙区に候補を擁立できなければ、比例代表への影響も避けられず投票にすら行かない組合員が続出する恐れがある。本川博孝会長は「本当に希望(の党)をやるのかという声が組合員から出ている」と困惑する。

支持拡大見通せず

 希望の党の登場で、描いた野党共闘がもろくも崩れ、手詰まり感が隠せないのが塚田氏を擁立する共産党。

 社民党や無所属の長谷川稔県議が橋渡し役となり、協力態勢の在り方を模索したものの、民進党の候補擁立作業が先延ばしになり、協議のテーブルに着くことさえできなかった。

 共産党県委員会の小村勝洋委員長は「民進が抜けただけで他の枠組みは変わらない」と強がるが、1日の選対会議を終えた社民党県連の米村正一幹事長は「軸になる民進党が今のような状態では難しい」と、温度差がある。支持拡大が見通せないまま公示日が迫る。

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<2014年衆院選結果>

石破  茂氏(自民) 93、105票
塚田 成幸氏(共産) 22、888票

2017年10月3日 無断転載禁止