女子ログ 台風一過の贈り物

 台風18号が過ぎ去った日の朝、栗ご飯を作ろうとしていると、隣保長の奥さんが玄関先に駆け込んできた。「魚の配給があるから、入れ物を持って出てね」。大敷の船でイワシがたくさん取れたので、地域にお裾分けしてくれるという。ウキウキしながらタライを用意し、外に出た。

 近所の人が待ちわびる中、魚を載せたトラックが到着。漁師たちが15センチくらいのイワシをタライいっぱいに入れる。100匹は超える量だ。ちょうど午後から広島対阪神の野球中継があるので「これを酒のさかなにしよう!」。

 「お魚をたくさんもらいましたよ~」と漁師だった義父の遺影に声をかけ、台所で魚と向き合う。さて、どうしよう。魚料理のアドバイスをくれた義父はもういない。記憶を手繰り寄せながら、よく作ってくれたつくだ煮とフライを作ることにした。

 魚の半分は冷蔵庫に入れて、せっせと手開きでさばいていく。つくだ煮の鍋を火にかけながらお昼休憩。栗をむいて炊飯器をセットした後、残りの魚でフライをこしらえた。

 午後2時、夜勤明けの主人とビール片手にテレビ観戦をしながら出来たてを食べる。ふんわりと口に広がる味は懐かしかった。「うちの味だ」という主人の言葉に涙を浮かべ、右手の親指の筋肉痛とともに、連覇の思い出になった。

(出雲市・こいちゃん)

2017年10月4日 無断転載禁止