政治の行方 第2部・揺れる足元(上) 民進・連合

民進党から希望の党へと変わる鳥取2区立候補予定者の街宣車=3日、米子市内
「小池劇場」組織揺さぶる

   代償と副作用残し迷走

 10日の衆院選公示まで1週間を切った。小池百合子東京都知事らによる「希望の党」結成と野党再編劇で、あらためて政党の在り方が問われている。「政治の行方」第2部は、解散後に揺れた山陰両県の政党や組織の足元を見つめる。

 3日深夜、民進党を出て「立憲民主党」を立ち上げた枝野幸男氏の携帯電話が鳴った。民進党島根県連副代表で島根1区に出馬する予定の亀井亜紀子元参院議員(52)からだった。「そちらに加わらせてください」と吹っ切れた声で切り出すと、枝野氏は「ありがたい」と、受け入れた。


異なる路線選択

 同日夕、希望の党が発表した1次公認名簿に、申請した亀井氏の名前はなかった。民進党の前原誠司代表が小池氏と約束したとされる「全員合流」は履行されなかった。

 予兆はあった。希望の党が、内々定通知として送った憲法改正や安全保障関連法への支持など10項目の政策協定書。9月の代表選で枝野氏に投票し、市民団体と安保法制反対で連携を密にしていた亀井氏には「踏み絵」を迫る文書さえ届かなかった。

 公認発表前日の2日、自身を民進党に導いた玄葉光一郎党総合選挙対策本部長代行から「(名簿入りに)実は苦労している」と電話で告げられた。希望の党との決別から一夜明けた4日朝、立憲民主党からの出馬を正式に表明した。

 自らの信念と異なる路線を一時選択し、希望の党の選別に漏れて「所属政党」が決まった混乱は続く。

 連合島根は公示後に2万5千枚の選挙はがきを有権者に送る予定で、過去の選挙では各単組の宛名書きが終わり、集めている時期だが、カードそのものが出来上がっていない。組合に配れるのは公示日の10日以降になる見込みで、景山誠副事務局長は「選挙本番に向けて厳しい」と漏らす。


「カード返して」

 民進党を離れ、希望の党の公認を得た鳥取2区の湯原俊二元衆院議員(54)が払う代償も小さくない。

 排除をいとわない小池氏の政治手法への反発は、連合鳥取にも広がる。湯原氏が希望の党からの出馬意向を決めた後、連合鳥取の本川博孝会長の元には組合員から「希望の党に(票を)入れないといけないのか」との声が届き始めた。一部労組では、上部団体から、希望の党の公認を受けた候補者のボランティアに参加しないよう求めた通達も出た。

 最後まで悩みながらも政権奪取に意欲を示す小池氏に寄りかかった結果、起きた副作用。鳥取県西部の自治労系の組合員は「小池さんは嫌いだ。(一度出した)湯原さんの支持者カードを返してほしい」との言葉を受けた。


失うもの覚悟を

 亀井、湯原両氏を揺り動かした「小池劇場」。旧民主党時代から主要政策で軸足が定まらなかった「寄り合い所帯」は、組織崩壊を誘発する小池氏の排除によって分裂し、2人は別々の道を歩む。

 両県連にそれぞれ所属する地方議員は「選挙はこのまま突き進む」と口をそろえる。

 ただ、大森英一伯耆町議が「得るもんもあるけど、失うもんもあると覚悟しとかんといけん」と語るように、選挙後には党員・サポーターも亀井、湯原両氏と同じく選択を迫られる。憲法観やエネルギー政策など違う主張が組織内に同居する連合も、組織の在り方に向き合う。

 4日朝、亀井氏の出馬表明を見届けた党島根県連の川井弘光幹事長代理は、それぞれの決断を下した前原、枝野両氏をおもんぱかる一方「自民党は派閥で対抗しながら最後はまとまるが、それができなかった」とつぶやいた。

2017年10月5日 無断転載禁止