政治の行方 第2部・揺れる足元(中) 共産・社民

衆院解散直後、街頭に立ち安倍政権打倒を訴える共産党島根県委員会の幹部ら=9月28日、松江市内
埋没の危機 問われる力量

   反安倍で存在感示せるか

 衆院選公示を6日後に控えた4日午後、共産党島根県委員会の幹部2人が、島根1区に出る亀井亜紀子元参院議員(52)の松江市内の事務所に予告なしで姿を見せた。遊説から戻ってきた亀井氏との約20分間の面談で「候補を降ろします」と告げた。

 小池百合子東京都知事が率いる希望の党に亀井氏が公認申請した際、県委員会の尾村利成副委員長は「野党共闘をほごにした」と名指しで非難。公認から漏れてリベラル派の受け皿として枝野幸男氏が設立した立憲民主党入りを決めると、姿勢を軟化させた。

 同日夕、同市内で共産党候補の取り下げを発表した後藤勝彦委員長は「安倍政権で、憲法が変えられようとしている。共に戦いたい」と勇んだ。


一本化に戸惑い

 ただ、県委員会では主戦論が強かった。1区内には中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)が立地し、地方議員らが稼働阻止に取り組んでいるからだ。

 思いは亀井氏に託すことになったが、有権者に伝わるかは見通せない。同氏を支援する連合島根は各組織で考えに違いがあり、過去の民主党(現民進党)候補同様に「あえて触れる必要はない」との意見は強い。

 共産、立憲民主両党の中央主導で突如決まった候補の一本化。県委員会内では「みんな『ぽかーん』って感じだ」と戸惑いも聞かれる。

 4日の記者会見後、同市内で開いた総決起集会。戸惑いを打ち消そうとするかのように、後藤委員長は約100人の支持者に「野党は共闘、野党は一本化という市民の願いに立っての決断だ」と理解を求めた。

 野党統一候補で戦った昨夏参院選の鳥取・島根合区選挙区は政策と理念の違いで不協和音が生じ、惨敗。連合の共産党への抵抗感は強く、市民団体も巻き込んだ野党共闘は、事実上実現しなかった。

 亀井氏を支える民進党県連には「トラウマになっている」との声があり、引き続き距離を置く。

 反安倍政権の受け皿として期待を集め、党の議席を増やした過去と違い、今回は、小池氏が仕掛けた政局の中で、埋没の危機に直面する。


当落が存続直結

 社民党が置かれる状況はなお厳しい。5日、大田市内であった島根2区に出馬する福原宗男県連代表(70)の事務所開き。県連幹部の出馬の決断で「船出」ができた安堵(あんど)感に包まれた。

 一方で、危機感も同居した。党所属国会議員は4人で衆院の2人の当落が党の存続に直結する。かつて党の看板を背負った辻元清美氏らは去り、民進党を経て野党再編で枝野氏に追随。山本誉県連副代表は「立憲民主党ができて社民党の影が薄くなるのが怖い。比例票も流れる懸念がある」と支持者にこぼした。

 水面下では、共産党の小池晃書記局長と社民党の又市征治幹事長が島根2区での候補一本化で合意したものの、民進党・連合との関係を重視した社民党県連の意向が伝わり、幻に終わった。鳥取側では、候補擁立を断念した上に、野党共闘の接着剤の役割を果たせなかった。

 政権奪取を掲げ、反安倍政権の選択肢を示す小池氏に揺さぶられ、存在がかすむ共産、社民両党。参院選合区選挙区に野党統一候補として出馬した福島浩彦氏は「希望の党が(選挙後に)与党に右へ倣えになり、野党も有権者に響きづらい言葉で護憲を叫び続けて歯止めにならない、この構図になるのが危険」と語る。老舗政党の力量が問われている。

2017年10月6日 無断転載禁止