政治の行方 第2部・揺れる足元(下) 自民・公明

公明党の講演会で、衆院選必勝を期して拳を突き上げる自民、公明両党の幹部ら=5日、出雲市内
 安泰空気一変守りの戦い

    選挙協力双方認識にずれ

 「迷惑で、怒っている」-。3日に安来市で自民党安来、広瀬、伯太3支部が開いた島根1区に出馬する前職の細田博之党前総務会長(73)の集会で、支部幹部が苦言を呈した。

 解散を決断した安倍晋三首相の出身派閥の領袖でもある細田氏にとって、耳の痛い話は続く。安倍首相がせめて臨時国会の冒頭の所信表明で信を問う理由を説明すべきだったと指摘し「責任政党としての立場をわきまえてほしい」とまくし立てた。

 細田氏は、北朝鮮対応や消費税増税分の使途変更などは信を問うべきテーマとする首相発言をなぞり「これまでの経験を積み重ねた政党こそが日本を立ち直らせ成長させる」と理解を求めるしかなかった。

 解散の兆しが出た9月中旬、党鳥取県連の安田優子幹事長が「(首相は)今ならやれる(勝てる)と思ったのではないか」と分析した戦いは、唐突だったために身内からも大義をただす声が収まらない。その上に政権批判の受け皿となる、小池百合子東京都知事が率いる希望の党の登場で様相が変わった。

 政権を取り返した2012年衆院選から大勝を続ける自民党。ただ、党所属の地方議員の多くは「他に選択肢がないから勝ってきただけだ」との見方を示す。

 中央で日増しに募る危機感を物語るように、党本部は、島根2区に出る前職の竹下亘党総務会長(70)に対し、激戦区への応援弁士としての投入を見据え、投開票前の3日間を空けるように指示。公示後は一度も地元入りできない可能性が出てきた。

 バーターで結束

 守りの戦いを強いられる中、一層頼ったのは連立政権を組む公明党だった。

 「相当厳しい」―。鳥取2区から出馬する自民党前職の赤沢亮正元内閣府副大臣(56)は5日、米子市内で公明党の支持母体・創価学会幹部にこぼした。

 脳裏には、同区から希望の党公認で出馬する湯原俊二元衆院議員(54)に626票差に迫られた09年衆院選が浮かぶ。赤沢氏が「お互い全面的に協力しよう」と呼び掛けると、創価学会幹部は希望の党の勢いを台風に例えて「瞬間最大風速ではないかもしれないが、弱まったわけではない」と案じた。

 公明党が選挙区で自民党候補の集票に協力する代わりに、比例で支援を受ける「バーター」。島根側でも公明党との関係が薄かった細田氏が3日、松江市内で創価学会幹部を訪問。翌日の4日、市内であった公明党の時局講演会であいさつに立った細田重雄選対本部長が自民党系の松江市議も見守る中、約500人を前に「心をひとつに頑張っていきましょう」と呼び掛けると、拍手が湧いた。

 初要求突き付け

 背に腹は代えられない事情は公明党も同じだ。

 党鳥取県本部の銀杏泰利代表は9月28日、鳥取1区の自民党前職の石破茂元地方創生担当相(60)と赤沢氏の陣営に「比例で公明党を推薦してほしい」と初めての要求を突き付けた。

 危機感の背景は希望の党の存在だ。比例中国ブロックの現有2議席の維持が至上命令の中、同党は中国4県の小選挙区で10人以上を擁立し、影響を受ける可能性もある。

 自民党側は競合する比例で推薦を出すのは「党紀違反」になるとして、文書を交わすことに消極的だが、銀杏代表は「貢ぐばかりで見返りがない」とけん制を続ける。

 ただ、公明党も7月の都議選では小池氏が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」と選挙協力し、自民党を大敗に追い込んだだけに整合性が問われる。

 安泰ムードは一変し、小池氏が仕掛けた野党再編できしむ自民、公明両党の蜜月関係。有権者に対し、連立政権の実績と政策だけでなく、解散の大義も説明を尽くす責務がある。

2017年10月7日 無断転載禁止