狐と狸の化かし合い?

 政治の世界では、長州・薩摩の時代から「勝てば官軍」なのだろう。『孫子』の兵法でも「兵とは詭道(きどう)なり」と、戦いでは敵を欺いて勝つ戦術を説く。その常道通りの虚を突いた解散に、相手も捨て身の「奇策」に走ったが、足並みが乱れ分散する結果に▼「国難突破」を「錦の御旗」にした衆院選が始まった。内閣を改造したばかりで北朝鮮情勢も緊迫する。急いで信を問う理屈が納得できたかどうか。一方、にわか仕立ての保守新党も関心を集めることはできたが、狙いが不透明で勢いは陰り気味▼気になるのは、委員会採決を省いた本会議可決など、最近「詭道」まがいの政治が目立つ点だ。疑惑に対する「丁寧な説明」など、国民への約束でも、そんな節がうかがえる。政治に「正々堂々」を望むのは無理なのだろうか▼こうなると有権者は難しい。教科書的には「公約や人物をよく確かめて」なのだが、政治の言葉は玉虫色になりがちだし、話したこともない人物を短期間で見極めるのは無理。学歴や経歴が当てにならないのは、相次ぐ不祥事で身に染みた▼支持する党や候補がいる人はいいが、そうでない人は、今回のような選挙は一層迷う。おまけに「一寸先は闇」の世界。与党と保守新党は憲法など政策の根幹は近く、選挙後の「手打ち」も話題に上る▼結局は、今の「1強政治」をどう判断し、何を求めるかだろうが、裏を読めばいいのか、裏の裏なのか。「狐(きつね)と狸(たぬき)の化かし合い」のような政治では、有権者は安心して投票できない。(己)

2017年10月13日 無断転載禁止