仕事みてある記 舞台技術(音響)スタッフ

「観客により自然な音を届けたい」と音響スタッフの仕事に取り組む三島広平さん。自分の耳を頼りに、機器を操作し音を整えます=松江市殿町、島根県民会館
お客さんにより良い音届(とど)ける

三島 広平(みしま こうへい)さん

   (松江市殿町)

 「さまざまな公演(こうえん)で音質(おんしつ)や音量を調整し、お客さんにより良い音を届(とど)けます」。松江(まつえ)市殿(との)町、島根県民会館の舞台技術(ぶたいぎじゅつ)スタッフとして、音響(おんきょう)に関わる仕事をメインにしている三島広平(みしまこうへい)さん(30)。人の声や楽器の音を機器を使ってより自然な音に整(ととの)える、エキスパートです。

 安来節(やすぎぶし)や石見神楽(いわみかぐら)などの伝統芸(でんとうげい)能(のう)、バンド演奏(えんそう)、学会発表…。公演に向けまずマイク選びです。必要な本数、種類、設置(せっち)場所などを考えます。音は温度や湿度(しつど)によって伝わり方が違(つが)うので、電源(でんげん)を入れ、きちんと音が出るかどうか、スピーカーを通したときの音質などをチェック。リハーサルを行い会場のどこにいても、話している声そのままに聞こえるよう、調整します。

 「自分の耳を頼(たよ)りに、自然な音を求め、石橋をたたいて渡(わた)る感じで準備(じゅんび)します」

   ※      ※   

 松江市出身。高校の文化祭でバンド出演した際(さい)、音響技術者に初めて出会い、仕事ぶりが心に残りました。「自分もやりたい」と、東京の専門(せんもん)学校に入り2年間学びました。音響の仕事に就(つ)くために必ずいる資格(しかく)はありませんが、専門の知識(ちしき)と技術を身に付けていることを証明(しょうめい)する舞台機構(きこう)調整技能士(ぎのうし)(国家資格、3級)、音響技術技能(3級)、映像(えいぞう)音響処理(しょり)技術(初級)、ラジオ音響技能(4級)の試験に合格しています。

    ※     ※    

 講演(こうえん)や演劇(えんげき)、学校の定期演奏会など、手がける公演はさまざま。入念(にゅうねん)に準備をしても本番で観客が入ると音が吸収(きゅうしゅう)され、また伝わり方が変わります。大、中ホールの「調整室」や客席などに設置した「ミキサー」と呼(よ)ばれる機器のつまみを使い、音量、音質、音程(おんてい)などを細かく整えます。例えば救急車のサイレンの音を右から左に流し、まるで動いているように聞こえる操作(そうさ)も。歌い手が気持ちよく歌えるように、歌声を響(ひび)かせるエコーをかけたりします。

 スピーカーごとに音質が違うので性能(せいのう)をよく知ることが大切、といいますが「スピーカーから音が出ていると意識(いしき)されたら失敗」だと思っています。「できるだけ自然に聞こえることが当たり前」がモットーです。

 「いろいろな舞台を見て、音を聞いて、技術を上げていきたい。学んだことは県民に還元(かんげん)し、島根の文化振興(しんこう)の役に立ちたい、と思っています」

★メッセージ

 好きなことをまずやり、突(つ)き詰(つ)めることが大事だと思います。今やりたいことが見つからないなら、何でもいい、飛び込(こ)んでみよう。きっと心に残るものがあるはず。それが大切です。舞台の世界にふれる機会は少ないけど、演劇だったり音楽だったりをきっかけに、興味(きょうみ)を持ってくれるとうれしい。

2017年11月1日 無断転載禁止

こども新聞