きらめく星 フォーマルハウトとディフダ

夜空の「海」にある二つの星

三瓶山の笠雲のフォーマルハウトとディフダ=2016年12月11日、三瓶自然館天文台から撮影
 明るい星にはたいてい名前があります。しかし、一つの星に一つの名前が付いているとは限(かぎ)りません。これから紹介(しょうかい)する秋の夜空によく見える二つの星には、それぞれに二つ以上の名前が付いています。

 今の時季、南の空の低いところに、たいへん明るい星が見えます。フォーマルハウトといいます。近くにはほかに明るい星がないので、「秋の一つ星」とも呼(よ)ばれます。その東側の少し離(はな)れたところには、フォーマルハウトよりは暗いのですが、やはり周りに明るい星がないため目立つ、ディフダという星があります。

 フォーマルハウトは「魚の口」を表し、みなみのうお座(ざ)という星座(せいざ)にあります。一方、ディフダは「カエル」という意味で、くじら座の星です。さらにこの星はデネブカイトスという別の名前でも呼ばれます。「クジラのしっぽ」という意味があり、天文ファンには星座のイメージに合うこの名前でよく親しまれています。

 魚とクジラ。どちらも海に関係するのは、古代の人が秋の星空の中にも海があると考えたからのようです。また、フォーマルハウトにも別名があって、ややこしいことにくじら座の星と同じディフダです。夜空に2匹(ひき)のカエルが鳴いている姿(すがた)を想像(そうぞう)した人たちがいたのかもしれません。

 ただ、同じ星にいくつも名前があると混乱(こんらん)することもあるでしょう。昨年、国際(こくさい)天文学連合という組織(そしき)によって、みなみのうお座のフォーマルハウトとくじら座のディフダが、正式な名前として定められました。それら以外の主な星についても、一つの星につき一つの名前が割(わ)り当てられました。

 今日までに300個(こ)近くの星について正式名が決められていますが、もちろん普段(ふだん)はそれ以外の名前で呼んでもかまいません。星に伝わるいろいろな名前を調べるのは楽しいことです。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)

2017年11月1日 無断転載禁止

こども新聞