カワイイ?

 「『カワイイ』ばっか言ってんじゃねェ。」。うかつに近寄ったら引っかかれそうな、不機嫌な猫の写真。日本新聞協会が募集した新聞広告コンテストの最優秀賞で、作品名は「カワイイ?」▼審査員講評は、「動物を飼うことは命に関わることだと警鐘を鳴らしている」「何に対しても『カワイイ』の一言で済ませる現代の風潮への皮肉も感じられる」。なるほど、短い言葉に警鐘と風刺、新聞広告の本領発揮だ▼制作者代表は若手デザイナーの平沢佳子さん。ペットを捨てる人を非難するだけではなく、「自分も捨てる側になる可能性をはらんでいることに気づき、この問題を考えるきっかけをつくりたかった」という▼その受賞記事を読んだ直後、アライグマを山に放した疑いで書類送検された人のニュースがあった。倉庫で見つけ、市に知らせると殺処分されるのがかわいそうだったという。小さな命が自分に任せられ、迷った気持ちは分かるのだが▼この判断は大きな問題を引き寄せる。アライグマなどの外来種は人間の健康だけでなく、生態系や農業にも影響を及ぼす。生命力が強いため繁殖し、放した数の何倍もが、いずれ殺処分の対象になるからだ▼縁日のアカミミガメ、熱帯魚やインコも同じ事。誰かが放して大繁殖し、厄介者にされている。ペットを長く飼うと情が移り、死んだ時には喪失感「ペットロス」も生まれるが、それは見えない感謝状。「最後まで飼ってくれてありがとう」と、思ってくれているに違いない。(裕)

2017年11月8日 無断転載禁止