紙上講演 星槎大客員教授 佐々木 伸氏

佐々木 伸氏
世界的テロの拡散と日本の危機

  手段変化 自衛意識高めて

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が7、8の両日、松江、米子両市であった。国際テロリズムが専門で、共同通信社元編集局長で客員論説委員を務める星槎(せいさ)大客員教授の佐々木伸氏(69)が「世界的テロの拡散と日本の危機」と題して講演し、テロの実態や遭遇しないための心構えを説いた。要旨は次の通り。

 近年のテロは、イスラム原理主義国家の樹立を掲げるイスラム国(IS)の犯行が主流だ。国をつくって欧米と戦うとし、植民地支配で抑圧された不満がくすぶるイスラム教徒の支持を集めた。進撃を食い止めるため米国が介入に踏み切り、テロは欧米に波及した。

 手段や形態も変化した。特に車での暴走が頻発している。銃や爆弾より、簡単にできるためだろう。昨年はフランス南部ニースでトラックが群衆に突入し、86人が犠牲になった。また、計画段階で見つかりやすい組織型より、一匹おおかみ型が多い。

 最近はフィリピンのミンダナオ島がISのアジアの拠点とされる。昨年、日本人7人を含む22人が死亡したバングラデシュの飲食店襲撃テロのように、脅威は日本にも押し寄せている。20年東京五輪・パラリンピックが標的になる恐れがあり、対策は大きな課題だ。

 ISの拠点シリアのラッカは陥落し、領地の9割を喪失した。だが、組織が壊滅しても数千人規模で生き残るのではないか。思想が拡散し第2、第3のIS誕生が懸念される。テロとの終わりなき戦いが続く。

 テロに遭わないための8カ条は▽危険な場所に近づかない▽治安情報に敏感になる▽人の集まる場所での滞在時間を短縮する▽空港では早めにセキュリティーエリア内に移動する▽現金を見せる行動は避ける▽片言の日本語に注意する▽知らない人物から物品・手紙類を預からない▽旅行を延期、中止する勇気を持つ―だ。自衛の意識を高めてほしい。

2017年11月9日 無断転載禁止