石見銀山 たんけん隊 <17時間目>

 江戸(えど)時代に産銀量がどのように変化し、銀を確保(かくほ)するためにどんな工夫(くふう)がされていたんだろう。

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排水(はいすい)用の間歩(まぶ)掘(ほ)り銀確保(かくほ)

 さとる 戦国時代から間歩(まぶ)を掘(ほ)り続けたら、石見(いわみ)銀山の銀を掘りつくしてしまわないの?

 しおり それに奥(おく)深くまで掘り進めば、わき出た地下水で間歩にたくさん水が溜(た)まってしまうわ。採掘(さいくつ)が難(むずか)しくなりそう。

 先生 そう。江戸時代に入ると水没(すいぼつ)して採掘できない間歩がたくさんできてね。それを解消(かいしょう)しようと、排水専用(はいすいせんよう)の間歩が掘られるようになるんだ。

 しおり 排水専用の間歩はどこに掘ったの?

 先生 水が流れ出やすいように銀を採掘している間歩より標高(ひょうこう)の低い場所だよ。排水が進むと採掘がはかどり、産銀も目に見えて増(ふ)えていったんだ。

 さとる でも、間歩を余分(よぶん)に掘るからたくさんお金もかかりそう。

 先生 江戸幕府(ばくふ)からばく大な資金(しきん)を借りたんだ。

 さとる 産銀量を確保するために幕府も協力したんだね。

 しおり 間歩が奥深くなると崩(くず)れやすくならないのかな?

 先生 二重に掘り進めたり(二重穴(あな))、石で岩盤(がんばん)を補強(ほきょう)したり(石留(いしどめ))したんだ。どちらも他の銀山にはないオンリーワンの技術(ぎじゅつ)なんだよ。

 さとる 腐(くさ)りにくいクリの木で崩れそうなところを支(ささ)えたりもしたんだよね。

 先生 そう。代官所は周辺の村々から計画的にクリの木を調達したり、銀山にクリの苗(なえ)を何万本も植林してまかなったりしたんだ。

 しおり 間歩を掘り続けるためにいろいろな工夫がされていたのね。

 先生 それでも間歩が深くなればなるほど採掘にお金がかかっていったんだ。それに銀山の成り立ちの特徴(とくちょう)から地表近くに比(くら)べて、地下深くにある銀鉱石(ぎんこうせき)は含(ふく)まれる銀の量が少なくなるからね。

 さとる 産銀量はどんどん減(へ)っちゃうね。

 先生 幕末(ばくまつ)には1年間に約80キロしか採(と)れなくなるんだ。8時間目(7月12日付)で学んだ釜屋(かまや)間歩では13トン以上の銀を幕府に納(おさ)めていたから…。

 さとる 最盛期(さいせいき)の1%未満にまで減ったんだね。

 しおり 銀山は盛衰(せいすい)を繰(く)り返しながら江戸時代の終わりに向かうのね。

=もっと知りたい= 二重穴ってどんな仕組み?

 銀鉱石(ぎんこうせき)を運ぶ間歩(まぶ)を上に、排水(はいすい)を行う間歩を下に並行に掘(ほ)り、一定間隔(かんかく)で縦(たて)に掘ることで二つの間歩をつなげて排水を効率(こうりつ)よく行ったよ。空気の循環(じゅんかん)を促(うなが)す役割(やくわり)もあったんだ。

・石見銀山資料館(しりょうかん)学芸員・藤原雄高(ふじはらゆたか)

2017年11月15日 無断転載禁止

こども新聞