世事抄録 ゆったり生きる

 68歳の時、前立腺肥大で1週間入院して治療した。その過程で第4ステージの悪性リンパ腫が見つかり、合計8回の抗がん剤治療を受けた。その結果、白血球がぐんと減少してしまった。感染症にかかれば大変だということで、それ以後、人混みを避けてゆったり生きることを心掛けている。

 午前中は読書か農作業のどちらかをやり、午後はぼんやりの時間の後、約2時間の散歩といった具合である。あれから2年近くなる。おかげさまでいたって経過がよく、日々生かされていることにとても感謝している。一時、白血球はこのまま増えないのではないかと医師に言われたこともあったが、今は増加傾向にあり、心強く思っている。

 ところで、ゆったり生活しておれば、いろいろと人生のことなどを考える時間ができて、なかなかいいもんだなあと考えるようになったから不思議である。

 今年私は古希(70歳)を迎えた。進んだ医療のなかった昔は「古来稀(まれ)な」歳(とし)だったに違いない。若い頃と同じように元気であると思っても、やはり年齢相応にふさわしい生活の型があるのだということが次第に分かってきた。

 ゆったり生きることを土台に老後の生き方を探っていこうと考えている。人間の幸福は老後にこそある。

 (鳥取県大山町・伯耆のウリボウ)

2017年11月16日 無断転載禁止