映画プロデューサーのささやかな日常(52)

mirroRliarでのティーチインで話す石塚慶生さん(右)
今後の日本映画界を支える卵たち

俳優目指す人応援したい

 先日、「mirroRliar(ミラーライアー)」さんにお声掛けいただき、若い俳優さん向けに「ティーチイン」(講座と質疑応答)を行いました。「mirroRliar」とは、「役者になるという思いをもった全ての人々に対し、『学び』と『チャンス』を提供していくサービス」を行うウェブサイトです。

 「夜空と交差する森の映画祭」の運営委員だった方からサービスの主催者である石田雄介さんを紹介していただき、「日本映画の未来を担う俳優を支援するサービスを提供したい」という熱い思いを伺いました。その可能性にとても興味を持ち、僕も参加することになったのです。

 俳優とプロデューサーの関係はやや複雑です。以前このコラムでも書きましたが、プロデューサーはオファーの段階では直接役者と話すことはできず、マネジメントを介してオファーすることになります。マネジメント事務所によってやり方はさまざま。例えば大手事務所はギャラや役者の扱い、見え方などにビジネスライクな条件が強くあり、小さな事務所はクリエーティブ重視だったりと、仕事の選び方が異なり、事務所によって話し方や進め方の「作戦」を考えなければなりません。

 映画業界に入って10年以上がたち、仕事をご一緒させていただく大切な相手としての役者や事務所に対し、さまざまな思いを持っていたものの、俳優育成そのものには関わってきませんでした。しかし最近、俳優を目指す若い人たちと出会う機会が増え、彼らの夢を聞くなかで、応援したい気持ちがふつふつとわき上がっていた一方で、仕事を自由に選べないといった、活動がままならないフラストレーションの話にシンパシーを抱き、何か役に立つことができないだろうかと考えていた矢先のことでしたので、これ幸いと今回のティーチインのお話を引き受けたのです。

 さて、当日集まった方々は、俳優といっても状況はさまざま。地方在住で上京の機会を探っている人、30歳を超えていまだ芽が出ないことに悩んでいる人、いまはモデル中心だが女優になりたい人、地方で女子アナだったが俳優を目指し上京してきた人など、それぞれの個別の事情を抱えて模索する50人ほどでした。

 質疑応答では、「どの事務所に所属したらいいのか?」「あの事務所に入るためには何か必要なことがあるのか?」「オーディションでは、書類審査でいつも落ちてしまうのだが、その理由は何か?」等々、非常に具体的な、かつ切実な質問を浴びせられました。

 自分なりに精いっぱいアドバイスしたつもりですが、一人一人の個性が最大の武器となるこの仕事では、簡単な近道が示せることはありません。親身になればなるほど、自分にもはね返ってくる思いでした。

 人生を懸けて役者を目指す人たちの夢をどう応援し、励まし、成長のサポートを行うことができるのか? かつて夢を追いかけていた自分を振り返り、これから日本映画界の宝となりうる若い人たちをいかに支援できるのかを、今後の大きなテーマとして考えていきたいと感じた貴重な時間になりました。

(松竹映像本部・映画プロデューサー、米子市出身)

2017年11月17日 無断転載禁止