逆走問題編(2)原因 大半の運転手「勘違い」

逆走事案が起きた山陰自動車道・浜田三隅道路の西村IC。緑色の矢印路面表示に沿って高速道路に入る=浜田市西村町
 正しい車線へ誘導する緑色の矢印路面表示に従い、車両が高速道路に進入する。浜田市西村町の山陰自動車道・浜田三隅道路の西村インターチェンジ(IC)付近。連結路(ランプ)手前には「逆走注意」と記された看板が設置されている。

 西村ICでは2015、16年で人身事故を含む計4件の逆走事案が確認され、国土交通省は車線への路面表示、カラー舗装を施した。同省浜田河川国道事務所道路管理課の伊藤法政課長は、複数回発生した原因に考えを巡らせ「決して特異な道路構造ではないのだが…」と首をかしげた。


IC、JCTで多発

 国交省と高速道路会社の調べによると、逆走事案の約6割はIC、ジャンクション(JCT)といった分合流部や出入り口、料金所付近で発生している。立ち寄ったサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)から本線への出口を間違える事例も目立つ。

 実際、山陰両県で13年1月~17年10月末までの認知件数のうち、IC、JCT付近は島根53件(72・6%)、鳥取11件(45・8%)に及んだ。両県警高速隊が発見したケースでは大半の運転手が「勘違いしてしまった」と回答し、中には認知症が疑われる事案があった。IC、JCT付近がなぜ多いのか、構造上の問題は明らかになっていないが、改善の余地はありそうだ。

 国交省が設けた逆走対策に関する有識者委員会のメンバーで、帝塚山大の蓮花一己学長(交通心理学)は近年の高速道路網の延伸に触れ「山を切り開いて整備するため、カーブや坂道、トンネルが増える。結果的に案内標識や路面表示が見えにくい箇所が生まれる」と指摘する。併せて高速道を接続するJCTでは、カーブや転回を繰り返すうちに方向感覚を失い、正しい路線に合流する際に逆走する傾向があると分析する。


一朝一夕にいかず

 国交省などは15年から、把握した事案に関する運転手への聞き取り調査を開始した。案内標識を見逃すといった「過失」は43%、行き先の間違いに気付いて戻ろうとしたなどの「故意」が22%。このほか逆走の認識がない「認知症の疑い」などが26%に上る。

 国交省は15年11月、20年までに高速道路での逆走事故ゼロを目指すとの目標を公表した。17年度までに逆走発生の恐れがある全国約3千カ所に路面表示などの対策を施す。手始めに40%を超す「過失」をなくす取り組みを進める計画だ。

 ただ、逆走事故をゼロにするには併せて「故意」をなくさないといけない。同省高速道路課の津田剛彦課長補佐は「現時点で逆走と分かっていてUターンする場合は防ぎようがない」と明かす。

 高速道路会社は、目的地のICを通過してもUターンせず、次のICで降りるよう繰り返し呼び掛ける。有識者委員の蓮花学長は「重大事故につながる危険性を広報啓発するしかない。逆走事故ゼロは一朝一夕にいかない」とする。

2017年11月20日 無断転載禁止