遺志継承へ素人有志初舞台 石見神楽に情熱 故三原さん

故・三原董充さんの思いを受けて初めて開く神楽公演に向け、練習に熱を入れる出演者たち
 益田市久々茂町で1月、登校児童の見守り活動中に飲酒運転の軽トラックにはねられ亡くなった同町の三原董充(ただみつ)さん=当時(73)=を追悼する石見神楽公演「久々茂の絆」が22日、同町の久々茂集会所で開かれる。地元の石見神楽久々茂保存会の代表を務め、神楽の発展を願っていた三原さんの遺志を受け継ごうと、神楽未経験の住民有志が舞台に初挑戦。懸命に稽古を重ねた舞を三原さんにささげる。

        

 三原さんは生前、益田市内の12社中でつくる石見神楽神和会の代表も務め、海外や被災地での公演を積極的に引き受けた。伝統を重んじながら進取の姿勢も大切にして、石見神楽のファンを増やすことに心血を注いだ。

 事故から半年余りが過ぎた8月、地元のゴルフ愛好者でつくる久々茂ゴルフクラブ(日比勇会長、20人)のメンバーが三原さんを追悼し、保存会の活動を励まそうと、現代表の島田祐司さん(38)に神楽公演の開催を相談。「自分たちは素人だが、練習で舞を習得し、地域を盛り上げたい」との思いを受け止めた保存会との間で話がまとまり、公演が決まった。

 同クラブのメンバーらが出演する演目は5演目中、「塵輪(じんりん)」「黒塚(くろづか)」「大蛇(おろち)」で、塵輪は保存会の力を借りず、素人だけで舞う。メンバーらは9月以降、毎週木曜日の午後7時から2時間、保存会の練習場で稽古を重ねてきた。塵輪で鬼を演じる建設会社役員、安田徳太さん(70)は保存会から本回り、逆回り、袖車といった舞の基本的な所作の手ほどきを受け、切れのある動きを体得した。

 19日には、塵輪の舞い手3人とともに、島田代表の大胴に合わせ、鬼棒で床を打つタイミングや、刀や矢を受けてもがく所作を確認。「三原さんが神楽に注いだ情熱を思い、本番では懸命に舞いたい」と汗をぬぐった。

 島田代表は「これまで神楽に全く興味がなかった人が2カ月間、懸命に練習し、舞うことは神楽界にとって新風だ」と感謝。「今回の試みは、まさに久々茂の絆により可能となった。三原さんが願い続けた神楽の発展につながってほしい」と望む。

2017年11月21日 無断転載禁止