(102)旧田所小学校講堂(邑南町)

現在は剣道の練習場になっている旧田所小学校講堂
モダンな欧州風ひさし

 邑南町下亀谷の旧田所小学校講堂は、木造平屋建てで趣のあるたたずまいをしている。1928年9月に建てられ、和風建築だが、明治と大正時代に流行した欧州風のひさしが出入り口にあるのが特徴。ひさしは、途中から勾配が急になっており、当時としてはモダンな建築物で、邑智郡内でも有数の規模を誇っていたという。

 この場所には1897年、下田所小学校が建設された。1903年に田所尋常高等小学校と改称し、47年4月からは田所小学校になったが、その間に講堂は完成した。

 田所小の敷地内には48年10月、矢上高校田所分校が開校し、講堂は両校で共同使用することになった。66年に田所小が瑞穂小として統合移転後は、矢上高瑞穂分校(65年改称)が77年に移るまで使っていた。

 矢上高瑞穂分校が移転してからは、旧瑞穂町武道館として利用され、銃剣道の練習場になった。ここで鍛錬を積んだ選手たちは力を付け、全国大会で優勝するなど輝かしい成績を残した。邑南町に合併されてからは剣道の練習場になっており、武道の習得に励む地元スポーツ少年団員が汗をかく。

 木造の旧講堂は、多くの卒業生が思い出を作った。往時の面影を色濃く残した貴重な建物は、98年に国登録有形文化財の指定を受けた。教育の歴史を物語る施設は、今も昔と変わらず地域住民に活用されている。

2017年11月30日 無断転載禁止