レッツ連歌スペシャル(要木木純)・11月30日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 今月の前句は

 三次元より二次元の愛

でした。

 現実の異性(三次元)より、漫画やアニメのキャラ(二次元)を愛する人が男女問わず、増えているようです。非婚少子化の原因かも。

見合いからダッシュで帰り見るジブリ

               (松江)西坂 瑞人

遙(はる)かなるイスカンダルへ走る汽車

             (出雲)はなやのおきな

 銀河鉄道999と宇宙戦艦ヤマトがまじっているような…。

 現実の恋愛や結婚では、思い通りにはならないことが多い。それに対して、アニメの女性は、

言うことを何でも聞いてくれそうで

               (松江)相見 哲雄

永遠に俺に歯向かうことはない (松江)学園 花子

 これは愛なのか、バトルなのか。

 嘆かわしいとお思いの人も多いでしょうが、昔から、相手と直接ではなく、写真や手紙を通じて、いわばバーチャルリアリティーの愛を楽しんできたんですよ、人類は。

じいちゃんの財布の中にゃ京マチ子 

               (益田)石川アキオ

絵葉書が毎年届く誕生日    (松江)森  笑子

ハンケチが落ちましたよがなれそめで 

               (松江)高木 酔子

 ハンケチも二次元ですね。

 読書や手紙・メールを愛する人は、二次元自体が好きなのかもしれない。

想像をたくましくする読み聞かせ(松江)田中 堂太

ライオンと絵本の中ではなかよしに

               (益田)大居 鴻平

秋の日にめくるページはさらさらと

               (出雲)栗田  枝

二階からメールをよこす下宿人 (浜田)三隅  彰

返してきた本にはさんだラブレター

               (益田)山藤 律子

おみくじの大吉札を木に結び  (松江)持田 高行

 愛する人の遺影も二次元。愛(いと)おしくてたまらない。

長押から今日も微笑(ほほえ)む妻がいる (出雲)行長 好友

燈明(とうみょう)をあげて今宵(こよい)も独り言   (益田)石田 三章

 二次元=平面と言えば、

凹凸の乏しい顔でもいいのかな (雲南)渡部 静子

スタイルも顔も凹凸ないわたし (松江)山崎まるむ

 女性の投稿なので採用しました。男性が女性に対して、こんな失礼な句を詠んではいけませんよ(選者も最初に連想したのは秘密)。

獅子の子は千尋の谷でペシャンコに

               (浜田)勝田  艶

上は見ずただ前向きに一直線  (江津)大岩 郁夫

わからんよ月とスッポンというけれど 

               (浜田)佐々木わこ

空想が広がりすぎて引きこもり (出雲)吾郷 寿海

なぜ言えぬ「俺のところへ飛んで来い」と

               (松江)石塚 修三

君と僕あとは何にも見えません (松江)花井 寛子

積み上げたゲームの中で夢を見る

               (益田)竹内 良子

 これらの句は、「三次元」、「二次元」の言葉にとらわれすぎかもしれません。一直線だから二次元だとか、飛ぶから三次元だとか、そういうこだわりは、前句につき過ぎになるので、あまりよくありませんが、奇妙な論理(屁理屈(へりくつ)とも言いますな)が好きな私はついつい採用してしまいました。

 その他、面白かった句。

サラサラもザラザラもない頼りなさ

               (美郷)芦矢 敦子

年老いて住むにゃマンションより平屋

               (出雲)原  陽子

床に描くネズミが縛(ばく)を解き放ち (松江)岩田 正之

漱石も福沢諭吉も一葉も    (松江)澄川 克治

玄関を越えればみんなオシドリに(出雲)石飛 富夫

じいさんのハートだらけに既読スルー 

               (益田)可部 章二

ああ君よ幻の国北の国     (浜田)玉田 秀子

 さて、桃菴先生から、ご伝言があります。2018年「レッツ連歌新春特集」の前句は、

 ドルもユーロも交じる賽銭(さいせん)

の予定です。12月第2週のレッツで改めてお知らせがありますが、五七五の句を、今から、ゆっくり、いろいろとお考えおきください。

(島根大学法文学部教授)

2017年11月30日 無断転載禁止

こども新聞