若者の政治への意識

 先日、島根大学で学生に講義する機会があった。テーマは政治。開始前、若い世代に思いを伝えられるか不安だった。自分の大学時代を振り返ると政治に関心があったと胸を張って言えないからだ▼衆院選の仕組みを説明し、10月の自民党の圧勝劇を振り返る中で、聞きたいことがあった。投開票日の出口調査などで若者が自民党を支持する傾向が出たからだ▼背景には、有効求人倍率がバブル期並みになるなど経済環境があるとみられ、学生から「景気や雇用は重要」との答えが返ってきた。44歳の自分は大学卒業時に就職氷河期だっただけに理解できた一方で、伝えたいことがあった▼過疎高齢化が進み、地方の「先進県」である島根の課題はいずれ日本全体の課題になる。目先にとらわれず、将来に思いを巡らせて1票を投じてほしい。政治は生活に直結し、自分も社会に出て家族を持ち、無関心ではいられなくなった▼質疑応答で「参院選の合区はどうなるのか」「どうやったら地方の声が国政に届くのか」など多くの質問をもらった。一方で、若者の実情を知った。政治に関心があると答えたのは少数。「日常で情報を得るのはインターネット。新聞も読まず、情報が入ってこない」が理由だった▼ネット社会で情報が溢(あふ)れる中、いかに必要な情報を若者に届けるか。新聞が果たす役割を自覚し、普段から政治を話題にすることの重要性をかみしめた。意見を交わし、若者の意識に触れた1時間半の講義。あっという間に時間が過ぎた。(添)

2017年12月5日 無断転載禁止