男の介護

 出雲市で家族を介護する男性の集いが開かれると聞き、久しぶりに参加した。6年前、増えてきた男性介護者をテーマにした連載企画を担当し、初めて介護者の集いを取材した。妻の面倒を見る男性の話に、独身だった当時は「相手がいるだけいいじゃないか」との感想を持った覚えがある▼出雲の集いはテーブルを囲み、認知症の妻がいる8人が近況を語った。「男所帯で家事が大変」「風呂を嫌がって困る」。それぞれの報告に「そうそう」と相づちが入る▼1977年に9%だった男性介護者は、2015年は31%に増えた。周囲に助けを求めず、介護を抱え込むのが特徴で、悲しい事件につながるケースもある。介護者が気軽に相談でき、気持ちをはき出せる場が「集い」。他人の体験を聞くことで、知らぬうちに学び、介護力を上げる効用もあるようだ▼江津市の男性(76)は、早い段階で妻の症状を民生委員や近所の人に打ち明けた。ある日、妻が家からいなくなったが、民生委員が歩いている妻に声をかけ、大事に至らなかったという▼その男性は、言語表現が難しくなった妻の思いを感じ取って動き、言葉遣いを荒くしないよう心がけている、とも話した。おそらく大変な介護体験の中から導き出した夫婦のあり方は、当事者でなくても参考になった▼認知症の在宅介護は、家族の歩みや人生観、愛情の上に成り立つ支え合いだと思う。いずれ介護の問題に直面する働き盛りの年代も、生活スタイルを見直す機会をつくりたい。(衣)

2017年12月6日 無断転載禁止