巨大杉桶でコウゾ蒸し 昔ながらの和紙作り

コウゾを蒸し終え、甑を引き上げる佐々木誠さん=江津市桜江町長谷、風の国「風の工房」
 和紙作りに適した冬場を迎え、島根県江津市指定無形民俗文化財の「勝地(かちじ)半紙(ばんし)」を受け継ぐ同市桜江町長谷の工房で6日、甑(こしき)と呼ばれる巨大な杉桶(おけ)をかぶせて原料のコウゾを蒸す、昔ながらの「そどり作業」が始まった。今月中に計5回作業を行うという。

 長谷地区では昭和の初めごろまで和紙づくりが盛んだったが、現在、勝地半紙を作る職人は温泉リゾート施設「風の国」敷地内に「風の工房」を構える佐々木誠さん(59)、さとみさん(51)夫妻のみ。甑を使い続ける生産者は全国でも少ないという。

 この日は、地元産コウゾ約1200本をかまどの鉄釜の上に並べ、上から甑(高さ1.7メートル、直径1.4メートル)をかぶせ、約5時間蒸した。蒸し上がったコウゾからは、サツマイモをふかしたような甘い香りが漂い、佐々木さん夫妻が柔らかくなった皮を一本ずつ丁寧に剥ぎ取った。

 コウゾは半紙や彩色和紙に使い、便箋やブックカバー、ランプシェードなどの商品にして工房ギャラリーで販売する。誠さんは「今年はコウゾの出来が良く、たくさん和紙が作れそう。伝統を守りつつ、新たな商品開発にも力を入れたい」と話した。

2017年12月7日 無断転載禁止