「わら馬」作り 良縁願う  鳥取西部に伝わる祭り「塞の神」

わら馬の作り方を説明する野口光弘さん
 鳥取県西部に伝わる良縁を願う祭り「塞(さえ)(幸(さい))の神」を今月中旬に控え、祭りで供える「わら馬」作りが各家庭で進められている。ただ、近年は作り方を知る人も減り、伝統の継承が危ぶまれている。子ども向けにわら馬作りの体験会を開くなど、地元は知恵を絞る。

 祭りは南部町や伯耆町を中心に見られる。塞の神は疫病などの災いの侵入を塞(ふさ)ぎ、結婚相手を見つけて幸をもたらす存在と考えられている。

 わら馬作りの名人として知られる南部町鶴田の野口光弘さん(76)によると、各地で形に違いがある。野口さんのわら馬は舌や歯もあるなど凝った作りが特徴だ。天日干ししたわらを選別し、節の位置をそろえて編む。麻糸などは用いず、わらだけで作る。

 地元の鶴田神社では毎年12月15日に催行。塞の神に団子を供え、たき火で尻尾を焦がしたわら馬を木に投げ上げる。高いところにかかるほど良縁に恵まれるとされる。尻尾を焦がす理由は諸説あるが、多くの借金を抱えて貧乏な塞の神に良い馬を渡すと、借金のかたに売ってしまうため、傷物にしておくのだという。

 時代の移り変わりで、わら馬を作れる人が数えるほどとなる中、有志でつくる「鶴田ごぼうの会」は5年ほど前からわら馬作りの体験会を開く。26日に会見第二小学校で催した会には約20人の親子連れが参加。名人の手ほどきを受けながら2時間かけてわら馬を作った。会の野口俊美代表は「伝統の良さを再確認するのに役立っていると思う」と手応えを口にする。元小学校長で、塞の神を題材にした体験学習を行ったこともある中尾慶治郎・祐生出会いの館副館長は「体験は大事だ。地域に目を向けるきっかけになる」と話す。

 野口光弘さんは「今後に希望を持ちながら、体が続く限り、作っていきたい」と継承に意欲を見せる。

2017年12月7日 無断転載禁止