紙上講演 デイリーNKジャパン編集長 高 英起氏

高 英起氏
北朝鮮情勢~金正恩氏の狙いは?

    経済制裁1月動向注目

 山陰中央新報社の石西政経懇話会、石見政経懇話会の定例会が7、8の両日、益田市と浜田市であり、デイリーNKジャパン編集長の高英起(コウヨンギ)編集長(51)が「北朝鮮情勢~金正恩(キムジョンウン)氏の狙いは?」と題して講演した。ミサイル発射や核実験で緊張が高まる中、北朝鮮の思惑や今後の出方を占った。要旨は次の通り。

 日本に北朝鮮の木造船が相次いで漂着している。内部情報によると今年8~9月、現地の水産事業所が異様に乗組員を募集していた。北の水産事業所は国に納める漁獲ノルマがあるが、それ以上の漁獲物は自由になる。経済制裁が強まる前に大もうけしようと、古い漁船で無理な操業を強いたのが、今回の事態を招いたとみられる。

 今年、北朝鮮は数多くのミサイルを発射した。軍事的な接触を起こさないよう米韓合同軍事演習の日程と重ならない日を選んで発射実験を繰り返し、技術を高めている。金正恩氏の時代になって核実験の回数は、金正日(キムジョンイル)総書記の時代と比較すると2倍になっている。

 金総書記は、核とミサイルを「場合によっては放棄する」という政治的なカードにしていた。正恩氏は核武装国家を目指している。核武装して存在感を高め、何が何でも自分の体制、王朝国家を守ることができればいいと考えている。

 歴史上、核兵器を持った国家が攻撃された例はない。特に米国は、韓国内の米軍や自国の民間人を核爆弾の被害にさらすのを避ける意思が強い。このため、トランプ大統領が北朝鮮を攻撃するとは考えにくい。ただ、米韓の「斬首作戦」には国営メディアが敏感に反応しており、金正恩氏がナーバスになっていることが分かる。

 2018年、特に1月に北朝鮮がどう出るかを注目している。経済制裁はある程度は効果はあるが、核放棄までには至らない。中ロとの関係改善に出るか、核実験やミサイル発射に出るか、戦争の危機感をあおるマスコミの報道にとらわれずに、腰を据えて見る必要がある。

2017年12月9日 無断転載禁止