輝(き)らりキッズ 隠岐の牛突き 引き綱巧みに操る最年少

「綱取(つなと)り」デビュー

「将来は自分で飼って勝たせたい」

春木 夢翔(はるき ゆめと)君 (都万小5年)

休日に「若昇力」の世話をする春木夢翔君=島根県隠岐の島町都万、町共同牛舎
 約800年の歴史があるとされる隠岐(おき)の牛突(うしづ)き(闘牛(とうぎゅう))の本場所土俵(どひょう)で秋に、地元の都万(つま)小学校(島根県隠岐の島町都万)5年生、春木夢翔(はるきゆめと)君(10)が、牛にかけた引き綱(づな)を巧(たく)みに操(あやつ)って闘(たたか)わせる「綱取(つなと)り」としてデビューしました。「4年生の時からなりたいと思っていました。将来(しょうらい)は自分で牛も飼(か)って大会で勝たせたいです」と夢も抱(いだ)き、突き牛の世話にも一生懸命(いっしょうけんめい)取り組んでいます。

 隠岐の牛突きは、1221年の承久(じょうきゅう)の乱(らん)で敗(やぶ)れ、隠岐島へ流された後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)を慰(なぐさ)めるために行われたのが起源(きげん)とされ、現在(げんざい)は隠岐の島町内だけで伝承(でんしょう)されている貴重(きちょう)な習俗(しゅうぞく)です。

デビュー戦の八朔大会で、人牛一体となった牛突きを披露する春木夢翔君(中央)=島根県隠岐の島町上西、佐山牛突き場
 町内には三つの保存会(ほぞんかい)があり、春木君は地元の都万牛突き保存会(斎藤博(さいとうひろし)会長、会員数約40人)の一員として、9月1日に佐山(さやま)牛突き場(同町上西(かみにし))であった八朔(はっさく)大会(県指定無形民俗文化財(むけいみんぞくぶんかざい))の土俵に、体重420キロ(当時)の黒毛雄(おす)牛「若昇力(わかしょうりき)」と共に登場。元気よく「ハイサー」「ハイサー」と声を張(は)り上げて若昇力を勢(いきお)いづけ、人牛一体となった牛突きを披露(ひろう)しました。初土俵は「とても緊張(きんちょう)した」そうです。

 若昇力は、都万地区の同級生3人グループ「継承会(けいしょうかい)」が飼育(しいく)している牛です。飼育者代表の佐竹良二(さたけりょうじ)さん(36)=同町都万、漁業=らによると、同保存会関係の突き牛約20頭の中でも「穏(おだ)やかで初心者でも扱(あつか)いやすい」牛だそうです。

 春木君も佐竹さんら先輩(せんぱい)から教わりながら空いた時間にはできるだけ牛舎(ぎゅうしゃ)を訪(たず)ね、餌(えさ)をやるなど世話もしています。11月23日も若昇力にブラッシングをしてやりました。若昇力も大会では鋭(するど)い目になるそうですが、この日はとてもやさしい目をしていました。

 春木君が「だんだん気持ちが通じ合ってきています」と感じているように、日頃(ひごろ)の世話やこれまでに若昇力と3大会に出場するなどし、関係も少しずつ深まってきました。そして綱取りとしての自信もついてきたようです。

 春木君の家では以前、牛を飼っていたことがあり、その牛は同じ闘牛文化がある愛媛(えひめ)県宇和島(うわじま)市に行ったそうです。「いつか宇和島の闘牛も見てみたいです。来年秋に隠岐の島町である全国闘牛サミットで話が聞けるかも」と、他地域(たちいき)の人たちとの交流も心待ちにしています。そして「関わる人が増(ふ)えて牛突きがもっと盛(さか)んになれば」と願っています。現在最年少綱取りの春木君に続く、子どもの参加も待っているそうです。

プロフィル

【好きな教科】 体育
【好きな食べ物】魚
【好きなスポーツ選手】
    坂本勇人(さかもとはやと)(巨人(きょじん))
【趣味(しゅみ)】
    魚釣(つ)り
【将来(しょうらい)の夢(ゆめ)】
    教師(きょうし)

2017年12月13日 無断転載禁止

こども新聞