レッツ連歌(下房桃菴)・12月28日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
◎目のつかぬとこへ移った喫煙所

暗闇すかしオヤお前もか    (浜田)滝本 洋子

◎肝心なところはいつも夢うつつ

ミミズの這(は)ったノートにため息 (浜田)放ヒサユキ

シラフで告白したらどうなの  (松江)山崎まるむ

観光バスは心地よく揺れ    (出雲)原  陽子

切り場語りと競う太棹     (松江)岩田 正之

◎目の前で持っていかれたコンタクト

排水口の渦は右巻き      (益田)黒田ひかり

◎郷土愛だけじゃ暮らせぬ過疎の村

イルミで飾る天空の駅     (松江)高木 酔子

◎0点の答案そっとしまい込み

できないこともあるドラえもん (松江)森廣 典子

◎五十年こんな近くで暮らしてき

塀の向こうはだれも知らない  (松江)澄川 克治

孫が見つけたオオサンショウウオ(江津)花田 美昭

◎あっさりとデートの後はさようなら

ベテラン記者もアテがはずれて (松江)佐々木郁雄

カボチャに戻る急がなくっちゃ (松江)田中 堂太

一時間ごと上がる料金     (江津)花田 美昭

◎ずいぶんと嫁入り道具も変わったね

百はほしいというコンセント  (松江)小豆澤悦子

なんでも揃(そろ)う百円均一     (益田)竹内 良子

◎レシピ見るスマホの画面また変わり

白いご飯と味噌(みそ)汁がいい    (益田)竹内 良子

◎ぜったいに覗(のぞ)いちゃダメと言われたが

櫛(くし)にイザナギそっと火を付け  (益田)石川アキオ

我が家と同じチンという音   (雲南)錦織 博子

◎定年後妻の権力強くなり

三尺下がってカート押してく  (松江)川津  蛙

朝から晩までポチに頬ずり   (松江)石塚 修三

◎あっちこち手抜きするのが玉に瑕(きず)

自分で作ったルールに縛られ

            (兵庫・明石)折田 小枝

◎分校の生徒はボクがただ一人

五年になればミヨちゃんが来る (益田)石田 三章

遊び相手はウサギのピョン助  (浜田)松井 鏡子

折り目正しき敬語身につき   (美郷)芦矢 敦子

◎ドカ雪が行く手を阻む9号線

車の中で聞く除夜の鐘     (米子)板垣スエ子

           ◇

 正之さんの「切り場語り」は、浄瑠璃で、一段の最後のクライマックスを語る太夫のこと。「太棹」はもちろん、浄瑠璃で使う三味線。ふつうの三味線より弦が太く、腹に響くような音が出ます。

 「オオサンショウウオ」は、豊かな自然に恵まれていたことに、改めて気づいた驚き。「一時間ごと上がる」のは、どんなデートか知りませんが、なんにせよ、同じ作者の句とは、とても思えません。

 「白いご飯と味噌汁」は、強情なところが気に入りました。

 敦子さんの上七は、もと「折り目正しい」とありました。それでまったく問題はないのですが、ちょっとだけいじらせていただきました。お気を悪くなさらないでください。ほんのデキゴコロです。

           ◇

 第4木曜日の連句形式、今年はこれでケリをつけて、来年はまた新しい前句から始めます。

  味のある字ととりあえず褒めておく

 書き初めのことを考えながら思いついた句なのですが、みなさんはもちろん、なにを連想されてもかまいません。「字」そのものにはこだわらないで、褒めることのむずかしさとか、褒められた人の反応とか、そんなことに焦点を合わせてみるのも、ひとつの付けかたです。

 まずはこの句に、楽しい七七(短句)を付けてください。

           ◇

それでは、みなさん、どうぞよいお年を!

(島根大学名誉教授)

2017年12月28日 無断転載禁止

こども新聞