卒業後も浜田で舞を 神楽留学の千葉出身・石井さん定住決意

石見神楽に打ち込むために浜田市内の会社に就職を決め、練習に精を出す石井海さん(中央)=浜田市熱田町、浜田商業高校
 2015年に千葉県から浜田商業高校(島根県浜田市熱田町)に「神楽留学」した石井海さん(17)=3年=が石見神楽に打ち込むため、浜田市内の企業から就職の内定を得て定住を決めた。同校郷土芸能部の中心メンバーとして経験を重ね、「もっともっと舞を極めたい」と膨らんだ思いが決断させた。石見神楽に生涯をささげる決意を新たにして春を迎える。

 千葉県市川市出身の石井さんは、幼い頃から母親の古里・浜田市に伝わる石見神楽のDVD映像を見て育ち、中学1年の頃、首都圏の島根県西部出身者らでつくる「石見神楽東京社中」に入った。「本格的に神楽に取り組みたい」との思いから同校への進学を決め、郷土芸能部に入部した。

 全国高校総合文化祭などの大舞台での上演のほか、部活動と並行して、浜田市中心部を拠点に活動する石見神楽亀山社中にも所属し、経験豊富な団員に混じって練習。「声が高いので神役が似合う」と言われ、主に「八幡」や「日本武尊(やまとたけるのみこと)」などで神役を務めてきたが、足さばきや所作の上達に伴い、今年からは鬼役も任されるようになった。

 神楽漬けの毎日の中で、特に印象的だったのは、秋に各地の神社で行われる奉納神楽。狭い神楽殿で、毛布にくるまったり、飲食を楽しんだりしながら舞に見入る住民の姿に「神楽が生活の一部になっている」と実感。「ステージでも、神社でも、見る人を感動させられるようになりたい」との思いを強めた。

 3年生になる頃には、石見神楽を続けるために市内での就職を希望する気持ちが固まり、自動車部品製造会社から10月の就職試験で内定を得た。

 来年4月以降は、亀山社中の一員として、仕事後に練習に向かう日々が待っている。「まだまだ未熟な部分が多い。本場での経験を積み重ね、神楽の魅力を伝えられるようにならないと」。かつて画面の中の舞を食い入るように見つめていた自分を思い起こしながら、静かに誓う。

2017年12月29日 無断転載禁止