還暦インスタントラーメン

 年の始めの食卓は出雲地方なら岩のり入りの雑煮とおせちが定番だろう。三が日が過ぎて、やや飽きたころに妙に恋しくなって思い浮かぶのがラーメン。正月気分を日常に引き戻してくれるにはうってつけ▼国民食といえる。有名店には行列ができ、ネットを開けば店ごとの評価を記した記述があふれる。中国生まれの料理は、日本でアレンジが加わり普及した。中でも家庭に身近な食べ物にしたのがインスタントラーメン。日清食品の創業者・安藤百福が湯を注ぐだけの商品を開発、世に出したのが60年前の1958年のこと▼干支(えと)は十干(じっかん)と十二支の組み合わせで、60年で一巡する。還暦60歳もこれに基づいている。今年は「戊戌(つちのえいぬ)」で、中国の古い思想によると、二つの文字とも「土」の性質があり、それが組み合わさることで、良くも悪くも「勢いが増す」とされる▼この説に乗るかのように、インスタントラーメンは手軽さが受けて浸透していった。百福がさらに手掛けたカップ麺で拍車が掛かり、アジアを中心に世界中で食べられるようになった。今や年間の消費量は1千億食近くの国際食。昨年はやった「35億」どころではない▼1958年は、東京タワーが完成し、テレビ時代の到来を告げた。当時皇太子だった天皇陛下が初めて民間から皇太子妃を迎えることが決まり、ミッチー・ブームが始まった年でもある▼60年前をヒントにすれば、進化や変化を予感させる一年か。何が進んでどう変わる。「還暦麺」を前にして、思いを巡らす。(泰)

2018年1月2日 無断転載禁止