労働生産性とリレー

 経済人の年頭あいさつで労働生産性という用語を何度か聞いた。労働の成果を投下した労働の量で割った値。日本は国際比較で低迷し、主要先進7カ国で最下位。政府が進める働き方改革で取り上げられ、向上が急務とされる▼やり方は大まかに二通り。まずは効率の追求。例えば生産ラインが人から機械になれば効率性は高まる。昨今言われる労働時間の短縮もそう。もう一つは付加価値の高い製品、サービスの開発。こちらは、日本企業がかつての携帯音楽プレーヤーのような画期的な商品を生み出さなくなって久しい▼稼ぐ源をいかにつくり出すか。その発想はスポーツの陸上にもあると、北京五輪メダリスト・朝原宣治さんの松江での講演で知った。近年、世界の舞台で活躍する日本男子400メートルリレー。4人の100メートル自己記録の合算からリレーの記録を引いたものを「利得タイム」という▼走力で劣る日本が磨きをかけたバトンパスの優劣を示す尺度。銀メダルのリオ五輪では2秒78稼いだ。優勝したジャマイカの1秒62を1秒以上も上回る。100分の1を競う世界で上位浮上の原動力になった▼さらなる高みを目指すため、次は個々の記録向上が鍵を握る。リオ五輪メンバーで昨年の世界陸上銅メダルにも貢献した桐生祥秀選手はその後、100メートルで日本人初の9秒台を出し、他の有力選手たちも突破を狙う▼利得とは利益を得ること。もうかる構造をまずはつくり、次なる課題に挑む。陸上だけでなく日本経済にも好循環を生みたい。(泰)

2018年1月7日 無断転載禁止