松江の蕎麦店で18年春から 割子そば 四角い器復活

再現した角形容器に盛られた割子そば=松江市白潟本町、松本蕎麦店
 松江市白潟本町の松本蕎麦(そば)店が今春、角形容器に入れた割子そばを復活させる。角形は明治末期まで使われ、出雲特有のそば文化である割子の「原点」に触れてもらう狙い。生粋のそば通で知られ、没後200年を迎えた松江松平藩7代藩主・松平治郷(はるさと)(号・不昧(ふまい)、1751~1818年)にちなみ、「不昧」と銘打って提供し、出雲そばのPRに一役買う。

 現在の割子そばの容器は丸形だが、同店によると、明治末期までは角形が使われたという。松江藩の鉄師だった櫻井家の文化財を公開する可部屋集成館(島根県奥出雲町上阿井)や島根県東部の老舗そば店には、長方形の容器が残る。

 容器をぶつけ、残った麺を一方に寄せて一気にすすり込む「拍子木食い」と呼ばれる粋な食べ方もあったという。ただ、拭き取りにくく、衛生面を考慮して大正以降は丸形に変わった。

 松本蕎麦店にも、松江市寺町で営業した同名のそば店が明治期に使った角形容器が残されており、安部啓一店長(55)が不昧に注目が集まる没後200年を機に復活を思い立った。

 新メニューは割子そば2枚と、割子に入ったあごの焼きや津田カブ漬けの盛り合わせ、抹茶をセットにする。週末限定にする予定で、価格や提供開始時期は今後詰める。

 このほど、店に残る物と同じ幅15センチ、奥行き8.5センチの長方形の容器を再現した。鮮やかな朱色の輪島塗で、常連客から「ミニお重みたいで、みやびな雰囲気だ」などと好評を得た。

 不昧は茶事にそば湯、そば皮まんじゅうを出した記録がある。そば打ちにこり始めた殿様から毎日まずいそばを食べさせられ、家来が苦々しく思う古典落語「そばの殿様」のモデルともされる。

 安部店長は「没後200年を機に、茶や和菓子だけでなく、昔の割子そばの雰囲気も知ってほしい」と呼び掛けた。

2018年1月9日 無断転載禁止