この時季はじっと我慢だ

 この冬一番の強い寒気が居座り、山陰でも連日、断続的な雪と厳しい寒さが続いている。交通機関の乱れや停電に加え、スリップ事故も多発している。警報は解除されたが、路面の凍結などに引き続き注意したい▼積雪は島根県の山沿いで多く、12日には飯南町の赤名や邑南町の瑞穂で1メートル前後になった。気温も連日、山陰両県の全29観測地点で氷点下を記録した。寒気は14日には緩みそうだが、高値が続く野菜など生鮮食品への影響も気になる▼この時季の山陰は、じっと我慢だ。昨年もほぼ同時期に寒波が来た。2年前は1月下旬に「数十年に一度」の寒波が来襲。松江や米子でも最低気温が氷点下5度前後まで下がった。2011年の元日には松江は大雪に閉ざされた▼大名茶人として知られる松江藩主・松平不昧(治郷)も松江の冬は苦手だったのか、人柄がうかがえる書簡を残している。「金降ればよいに雪計(ばかり)ふり申(もうし)候」。相手は義弟に当たる福知山藩主・朽木(くつき)昌綱。名物道具を買う資金を思案してのことだろうか▼雪の印象は育った地域で違うようだ。「雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、空も冷たい滑(なめ)らかな青い石の板で出来ているらしいのです」。オノマトペ(擬音・擬態語)を駆使した宮沢賢治は創作童話『雪渡り』の書き出しで雪国の情景をこう描写した▼早く寒波が去って、賢治が描いたように青空が広がってほしいが、路面が大理石のようになるのは困る。一両日は油断せず路面ツルツル、バリバリにご用心だ。(己)

2018年1月13日 無断転載禁止