世事抄録 「原発ゼロ」もう一つの視点

 注目の通常国会が始まったが、小泉純一郎元首相らが先日発表した原発ゼロ法案に与野党の議員はどう向き合うのだろうか? いまだに「電気が足りなくなる」「コストが…」とピント外れの意見がワイドショーで垂れ流されているから、遺言のつもりではっきり言っておきたい。去年、ノーベル平和賞を受賞したICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンの関係者も触れていたように、核と原発は同じメダルの裏表なのだ。

 それは脅威となった北朝鮮の核ミサイルの経緯を見ればよく分かる。全ては原発稼働、ウラン濃縮から始まっている。唯一の被爆国・日本に落とされた原爆も、米国シカゴで歴史上初めて臨界に達した原子炉なくして実現しなかった。欧米と違って学校の先生が踏み込んで教えてくれないから、今ごろの若者にこの程度の常識が育たない。悲しむべし。

 そもそも日本に原発が導入されたのは、米国の核戦争体制の中で核アレルギーが壁になり、それを消すために「核の平和利用」の概念と利権が持ち込まれた事情がある。そして「核兵器向けウラン濃縮は数カ月で可能だが、止めれば立ち上げに長時間かかる」のが原発にこだわる理由。合法的なプルトニウム保持にも核燃サイクルは必須だ。黒い歴史を多少知っているはずの団塊世代に問う。日本を潜在的な核武装国のまま子孫に残して、本当に悔いはないか。

(松江市・風来)

2018年2月1日 無断転載禁止