女子ログ 歌で見送る

 高校の恩師の訃報が届いた。葬儀へ向かう車中、かつて先生の指揮で歌った曲を思い出しては口ずさみ、涙をこらえることができなかった。

 合唱部の顧問だった先生は、熱意あふれるご指導で私たちをコンクールの中国大会や全国総合文化祭のステージへと導いてくださった。定期演奏会でアニメのキャラクターに扮(ふん)したおちゃめな姿も忘れられない。

 数々の思い出の曲の中に、定期演奏会で歌った日本の唱歌メドレーがある。「朧(おぼろ)月夜」「紅葉」など、日本の季節や言葉の美しさに目を向けるきっかけとなり、次世代に歌い継ぐ役割を感じた。今では子育てしながら最も口ずさむ歌だ。

 思い出は他にもある。校内ロードレース大会で入賞したとき、学校近くの食事どころで焼き肉定食をごちそうになったこと。県外の空港で偶然会ったとき、卒業して何年もたつのに覚えていてくださったこと。同窓会コンサートで、先生の指揮で再び歌えたこと…。

 出棺の際、先生の母校でもあり、私たちを指導してくださった、なじみ深い高校の校歌を参列者で合唱した。先生への感謝を込めた別れの校歌。涙で声が上ずったが、最後に歌で見送ることができて良かった。先生に届いただろうか。T先生、本当にありがとうございました。

 (浜田市・Faultier)

2018年2月10日 無断転載禁止