世事抄録 「年金」を考える

 「年金のことを猫にも言っておく」という、うまい川柳が本紙のどこかに載っていたが、身につまされる。年金生活に入ってみると、確かに窮屈である。何とかその範囲でやろうとする気持ちと、今後年金は減りはしても増えはしないという状況が、窮屈感の原因である。

 そうなると、今まで何も考えずにやっていたことを、いちいち見直すようになる。「メタボだし、朝食のパンは4枚切から5枚切にしよう」「俺のツマミより高い猫のエサはやめなさい」等々である。

 「カニは自分の甲羅に合わせて穴を掘る」ということわざがあるが、バブルを経験したわが身としては、分不相応な穴を掘って、無理をしていたところが無きにしもあらずだ。ある程度の無理や格好付けは成長の元というが、年金では無理は利かない。

 ならば年金生活者には成長がないのか。何の何の。この窮屈さを前向きにとらえると、一つ一つの行動の中身が濃くなる。すなわち、回数を減らした美術館巡りは、一回一回が真剣勝負(?)になり、メモを取るようになった。本はブックオフとアマゾンの中古本と決め、長編を中心に相当な数を読破した。目をつむっても歩けたネオン街のお散歩は激減し月1回足らずまでになったが、これが何とも楽しみで面白い。

 皆さん、年金族も人類の“進化”の一形態なのです。

(松江市・幸兵衛)

2018年2月15日 無断転載禁止