紙上講演 政治ジャーナリスト 伊藤 達美氏

伊藤 達美氏
2018年の政局展望

  日韓関係悪化は北利する

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が13、14の両日、浜田市と益田市であり、政治ジャーナリストの伊藤達美氏(66)が「2018年の政局展望」と題して講演し、安倍政権が抱える外交や内政面での課題について解説した。要旨は次の通り。

 開会中の平昌(ピョンチャン)冬季五輪で、北朝鮮がほほ笑み外交を展開している。一方で、核ミサイルの開発をやめておらず、挑発行為は今後も続くだろう。

 北朝鮮に対しては日米韓3国の外交、経済制裁、軍事の3本柱が圧力となり、抑止力となるが、韓国に左翼政権が誕生し、日韓関係は悪化している。日韓関係の悪化は、結果的に北朝鮮を利することになる。日米韓が協調して圧力をかけ、北朝鮮を話し合いの場に出す必要がある。

 内政に目を移すと、安倍晋三首相は今国会で働き方改革の関連法案を重要と位置付け、成立させたい意向だ。ただ、関連法案は与野党の対立法案であり、強行採決となる可能性が高い。

 経済政策では、アベノミクスの成果は中央では出ており、給料が上がり雇用は増えているものの、地方には行き届いていない。

 安倍首相は「この道しかない」「結果を出すことで責任を果たす」と語るが、地方には恩恵が回っていない。果実をいかに地方に循環させるか、地方の実情に即した景気対策が求められる。

 安倍1強体制と言われるが、野党内が一つにまとまらないことが一因だ。健全で強い野党なくして政党政治は成り立たない。希望の党を中心とした保守系野党と立憲民主党を軸にした左派の野党が誕生すれば、政権側に緊張感が生まれるだろう。

 9月の自民党総裁選への出馬候補は現状、安倍氏、石破茂氏、野田聖子氏、岸田文雄氏。安倍氏が3選を果たした場合、他の候補者を人事でどう処遇するかによって、後継指名に影響力を残せるかどうかが見えてくると思う。

2018年2月16日 無断転載禁止