世事抄録 アンディ来る

 広島に住む次女が昨秋、犬を飼い始めた。大好きなキャラクター「スヌーピー」と同じビーグル犬の「アンディ」である。

 弾んだ声で報告の電話があった時、少しほっとした。次女は幼いころから犬を飼いたがっていたが、「責任を持って、世話はできないだろう」と勝手に決め込み、ずっと許さなかった。彼女はめげずに何度か無断で子犬を連れ帰り、強行突破を図った。ある時はセーラー服の上着の中に隠して家に連れ込み、2階の自室でこっそり飼おうとまでした。子犬を返しに行くときの泣きはらした娘の顔が目に浮かぶ。かわいそうなことをしたと今は悔いている。

 ほどなくアンディと対面の時が来た。次女宅の居間中央に据えられたサークルから、けげんそうな顔でこちらを見上げるアンディはまさに娘が恋い焦がれたスヌーピーであった。

 夢の子犬を迎え、のんびりした次女の日常は一変していた。朝5時と夕方の1日2回の散歩。サークル内の定時の清掃に餌やり。1週間の滞在の間、楽しそうに世話をし、愛情を注いでいる娘を見て、子どもの時に飼ったとしても十分に面倒を見たことだろうと思い、おのが不明を恥じた。

 一人っ子の孫はママと同じで犬が大好き。弟ができたと喜んでいる。娘の初志貫徹は見事であったが、昔の面影がだんだん遠のいていく一抹の寂しさも感じた。

(浜田市・清造)

2018年3月1日 無断転載禁止