(108)西周旧居(津和野町後田)

津和野町に残る西周旧居。右奥に見えるのが、勉強部屋に使っていた土蔵
 土堀に囲まれた茅葺(かやぶ)きの小さな母屋に、白壁の土蔵-。津和野町後田には、町出身の啓蒙思想家・西周(1829~97年)が4歳ごろから約20年間暮らしたとされる「西周旧居」がある。当時の一般的な武家屋敷の形式を踏襲している数少ない遺構として、国史跡に指定されている。

 西周は、津和野藩に仕えた医師の家に長男として生まれた。62年にはオランダに留学し、法学や西洋哲学などを研究。帰国後は兵部省、文部省、宮内省の官僚を歴任し、生涯を通して国内教育に尽力した。

 幼い頃から勉強熱心で、土蔵内の3畳ほどの空間におにぎりを持ち込み、連日勉強に没頭していたという話が残っている。当時の母屋は53年の大火により焼失しており、現在残っているのは大火後に再建されたものだが、土蔵は勉強部屋として使われていた当時のまま残り、現在に至っている。

 江戸幕府が倒れ、政治の実権が明治政府に移った明治維新から今年で150年。没後120年となった昨年には、西周の著作を網羅する新全集刊行の計画も始動するなど、近年注目が高まっている。政府の中核を担い、近代化の礎を築いた偉人が勉学に励んだ様子が目に浮かぶ。拝観自由。

2018年3月1日 無断転載禁止