紙上講演 共同通信社編集委員 新堀 浩朗氏

新堀 浩朗氏
皇室取材の現場から

  時代に応じた象徴像模索

 山陰中央新報社の島根政経懇話会、米子境港政経クラブの定例会が12、13の両日、松江、米子両市内であった。共同通信社の新堀浩朗編集委員(56)が「皇室取材の現場から」と題して講演し、2019年4月30日で退位する天皇陛下のお気持ちや新時代の象徴天皇の在り方を考察した。要旨は次の通り。

 17年6月に天皇陛下の退位の特例法が成立し、退位日が決まった。退位が実現することは良かったが、皇室典範の改正議論などがネグレクト(放棄)されてしまったことが残念だとの声もある。

 陛下が求めた天皇像は明治憲法レジーム(体制)からの脱却がある。現代に天皇や皇室が存続できる在り方を考えてこられた。

 陛下は皇太子時代「象徴というものは決して戦後にできたものではなくて非常に古い時代から象徴的存在だったと言っていいと思うんです」などと述べ、09年の結婚50年の記者会見では「(明治憲法より)日本国憲法下の天皇の在り方の方が天皇の長い歴史で見た場合、伝統的な天皇の在り方に沿うものと思います」とも語っている。

 陛下は歴史を長いスパンで考える人柄だ。自身の葬法について、一般社会では火葬が普及し、江戸時代より前は多くの天皇、皇后が火葬されていたことから自分たちも火葬が望ましいと考えた。退位の議論も、終身在位が定められたのは明治時代で、歴代天皇125人のうち60人近くが生前に退位している。

 19年5月1日に皇太子さまが新天皇に即位する。皇太子さまは過去に新しい公務について「社会の変化に応じて公務に対する要請も変わってくる」と述べている。

 今後の皇室を考える時、象徴天皇の活動の在り方をどう捉えるのか。天皇と国民や政治、歴史との関係はどうあるべきか。私たちも考えないといけない。

2018年3月14日 無断転載禁止