女子ログ 祖父に呼ばれる

 「あの悲惨な中から、奇跡のように帰ってきてくれたことで皆の今があると思うと胸がいっぱいになります」。良い天気の朝、母から私たち姉弟宛てにメールが届いた。祖父の命日だ。祖父はインパール作戦から帰還後に結婚、慰霊のため終戦から30年後に再び訪れた現地で、たくさんの戦友が命を落としたのと同じ病にかかり、帰国後母が大学を卒業した年に亡くなったので私たちは会ったことがない。

 半年ほど前にテレビで放送されたインパール作戦の特集を、母は録画していた。祖父がどれだけの体験をしたのだろうと思うとなかなかその特集を見ることもできず、あそこに祖父が行っていたと実感することはとても苦しいと言っていた。

 祖父は戦後、戦争については何も語ろうとしなかったが、慰霊から帰国後「一生分涙を流してきた。語らねばと思って帰ってきた」と言っていたらしい。それがかなわなかったと思うと、番組の中でインタビューに答える生存者の言葉は祖父の言葉のように聞こえ、その重い事実と奇跡的な生還の上に私は生きているのだなと強く感じた。

 あなたたちにはあの特集を見てほしい、と母に言われてから実際に見るまで、数カ月の時間がたっていた。実家に帰ったついでにふと見てみようかなと思ったその日は、74年前世界一の雨量を誇るというその地で作戦が開始された日付とちょうど同じだった。外には、雨が降っていた。

(松江市・ツキ)

2018年3月16日 無断転載禁止