きらめく星 おぼろ月

ぼやけ具合も見どころ 

雲でかすんだ月=2017年4月7日、出雲(いずも)市西新町で撮影(さつえい)
 夜空にぼんやりとした月が出ていることがあります。雲などでかすんで見える月はよく「おぼろ月」と呼(よ)ばれ、俳句(はいく)では春の季語(きご)となっています。

 すっきりと晴れていれば月には模様(もよう)が見られますし、双眼鏡(そうがんきょう)を使うとクレーターがあるのも分かります。おぼろ月となるとそうもいかず、観察には向いていないように思えますが、そのぼやけ具合(ぐあい)にもいろいろあるところが見どころです。

 空を覆(おお)った雲の向こうからすりガラスを通したような光が見えて、月の形までは分からなくても、あるのだけは分かるという場合もあります。雲は薄(うす)くて月がかすんでいるけれども、満月(まんげつ)なのか半月(はんげつ)なのか、形は十分に分かるという場合もあります。

 曇(くも)ってないのに、月がにじんで見えることもあります。そんなときは、目では分からないほどの薄い雲が出ている可能性(かのうせい)があります。薄雲越(ご)しに見える月の周りには、暈(かさ)と呼ばれる光の輪が現(あらわ)れることもあります。

 月をかすませるのは、雲だけではありません。黄砂(こうさ)といって、春になると中国などの砂漠(さばく)の砂(すな)が大量に風で運ばれ、日本にやって来ます。この現象(げんしょう)が月をかすませる原因(げんいん)になることがあります。あるいは、スギなどがまき散らす花粉(かふん)によって月がにじんで見えることもあります。

 夜空を見上げることは、月や星だけではなく、私たちを取り巻(ま)く大気の中にあるものを見ているともいえます。なぜ月がぼんやりしているのか、よく観察して考えてみるとおもしろいと思います。

 そしてなにより春の月には風情(ふぜい)があり、山陰(さんいん)では多くの場所でかすんだ山の向こうに月が昇(のぼ)るような情景(じょうけい)も楽しめます。まるで「おぼろ月夜(づきよ)」の歌のように。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)

2018年3月21日 無断転載禁止

こども新聞