レッツ連歌(下房桃菴)・3月22日付

(挿絵・Azu)
◎まだ信じられない自動運転車

いったいどれが誰のものやら  (松江)山崎まるむ

飲んでも乗れるは悪いジョーダン(益田)石田 三章

◎病欠で江津三次を往復し

一日がかりで行く専門医    (美郷)源  瞳子

◎二人だけ遅々と進まぬ銭太鼓

オマエが速いアンタが遅すぎ  (雲南)横山 一稔

ひょんなことから恋仲となり  (浜田)放ヒサユキ

文化祭には間に合うかしら   (浜田)山崎 重子

◎どげしたんまたあのさんが出ちょなあが

国の財布の紐(ひも)首に懸け     (松江)岩田 正之

◎新幹線通る通ると騙(だま)されて

退職金で買った駅裏   (兵庫・明石)折田 小枝

◎二つ三つ立ち寄ってみる大茶会

息子に隠れ母が婚活      (松江)佐々木滋子

◎二人連れパッと離れて知らん顔

監視カメラは田舎にもある   (松江)川津  蛙

◎アドリブのラップのマイク渡されて

ここぞとばかり愛の告白    (松江)森  笑子

朗々と読む般若心経      (美郷)芦矢 敦子

◎北口で英字新聞持ってます

無線流れて刑事すっ飛ぶ    (益田)石川アキオ

◎砂浜に打ち上げられた木造船

撤去費用に悩む自治体     (出雲)栗田  枝

目覚めたガリバー手足縛(しば)られ  (飯南)塩田美代子

◎切り分けるケーキ見つめる三兄弟

古希を過ぎても恨みブツブツ  (松江)田中 堂太

嫁が出てきてややこしくなり  (益田)黒田ひかり

◎スムーズに横に滑らぬハーモニカ

きのう治した入れ歯踊って   (江津)花田 美昭

二(に)人(にん)羽織に大笑いする     (出雲)原  陽子

◎刷り込みは早くにやっておくがよい

囲碁か将棋か迷う親バカ    (益田)石川アキオ

◎偽物と気づいていると気づかずに

撃つぞ撃つぞと銃口を向け   (浜田)勝田  艶

◎好きなだけ食えや飲めやの大振舞い

日本男子はこうでありたい   (出雲)平井 悦子

あしたになれば鬼になる妻   (益田)大居 鴻平

あとの片づけあなたお願い   (松江)花井 寛子

宵越しの銭持たぬ江戸っ子   (美郷)吉田 重美

大政小政森の石松     (出雲)はなやのおきな

桜の花はすぐに散ります    (米子)板垣スエ子

           ◇

 瞳子さんの「一日がかり」は、ほんとうに「病欠」だったのですね。過疎地ではままあることかと存じます。三江線は命の綱。それを廃して、なにが「地方創生」か。

 蛙さんの句は、「監視カメラ」に気づいてパッと離れた、とも取れますが、私は―、知人に見つかりそうになってパッと離れはしたものの、「監視カメラ」には思いも及ばぬ二人連れ、と取ってみたい気がします。

 ひかりさんの「ややこしくなり」も、作者ご本人からは「ケーキの話ではない」とのコメントをいただいておりますが、私はやはりケーキの話と取ったほうがおもしろいと思います。三兄弟というのが、実はそうとうな歳(とし)。たとえば、古希も過ぎて孫もあるのに、ケーキ一つでケンカを始める。そこへもって、それぞれの嫁。ついには親戚縁者を巻き込んでのお家騒動―。そんな平和な日本で、ずっとあり続けてほしいものです。

 囲碁にしろ将棋にしろ、スポーツでもなんでも、努力すればかならず報われる、というものでもありません。努力はもちろん大事だけれど、持って生まれた才能には、やっぱりなかなか勝てません。アキオさんには、ババ抜きでもお勧めいたしておきましょう。

           ◇

 今度はまた、きょうの入選句を前句に選んで、それに長句(五七五)を付けてください。

(島根大学名誉教授)

2018年3月22日 無断転載禁止

こども新聞