目に見えない値上げ

 進物用の商品を探しているとき、同じ商品でも店によって価格が異なるため、戸惑ったことがある。インターネット通販が普及する前でネットによる価格比較サイトもなかったころである。同じ銘柄の缶入り焼き海(の)苔(り)をデパートより安く売っている店を見つけた。そこで買おうかと思ったが、念のため、百貨店幹部になぜそんなことがあるのか尋ねてみた▼「見かけは同じでも消費者に気付かれないよう中身を減らして売っているところもある」とその幹部。値段を安くしている分、中身もそっと減らしているという。缶入り海苔なら、同じ容器の中から数枚抜いておく。そんな商法がまかり通るのかと半信半疑だったが「百貨店ならそんな心配はいりません」▼値段は変えずに中身を減らすことで実質的に値上げするのをステルス値上げと呼ぶそうだ。ステルスとは隠密という意味。抜き足差し足で感づかれずに事を運ぶ。レーダー網をすり抜け、気が付けば頭上の敵機として現れるステルス戦闘機というのもある▼年度替わりの節目にステルス値上げも忍び寄る。菓子など加工食品を中心に「減量値上げ」されているのに気付いているだろうか▼値段が同じなら、いちいち容量までチェックしている人は少ない。「値段に敏感、量に鈍感」という消費者心理の落とし穴を突かれているのではないか▼と思いきや消費者はステルス値上げを見抜いていると民間シンクタンクなどの調査結果。商品を手に取った感覚を甘く見てはいけない。(前)

2018年4月4日 無断転載禁止