黒と白の決着

 日本銀行が黒い日銀、白い日銀と呼ばれたことがある。略して黒日銀、白日銀。白川方明前総裁から黒田東彦総裁に交代した5年前、両氏の名前を冠して日銀の政策が比較された。金融緩和という方向性では足並みをそろえながらも、アクセルの踏み方で黒日銀は際立っている。白か黒か評価は専門家の間でも分かれたが、その決着がついたかどうか、素人には判然としない▼「黒日銀にはどうもついていけません。白日銀時代がなつかしいです」。以前日銀松江支店に勤めていた方からこんな便りをもらったことがある。金融緩和に向けたハンドルさばきで白日銀が安全運転をはみ出さないようにしたのに対し、黒日銀は「速度違反」と言いたかったのかもしれない▼黒田総裁が再任され、デフレ脱却を目指す異次元の緩和策が続けられることになる。大量のお金を世の中に流す異次元の試みと言いながら、5年も続くと異次元慣れしてくる▼「物価上昇なくして景気回復なし」。消費者物価を前年比2%上げる物価目標にこだわる「黒の意地」に揺るぎはなさそうだが、そろそろ見切りをつける時機ではないか▼物価目標の達成が逃げ水のように先送りされる中で景気拡大期間は戦後2番目の長さとなり、人手不足も深刻になっている。景気を回復させて失業者を減らす本来の目的は既にゴールインしており、その上で物価を上げる意味はない▼むしろこれ以上物価を上げれば国民生活にとって迷惑千万。白か黒か決着をつけようではないか。(前)

2018年4月12日 無断転載禁止