就職氷河期世代/苦境を放置せず支援を

 雇用状況の改善が続いているにもかかわらず、かつて深刻な就職難を経験した「就職氷河期世代」は、賃金水準や働き方で困難な状況に置かれ、社会問題となりつつある。この世代の苦境を放置しておくことは許されない。手厚い支援が必要だ。

 就職氷河期とは、バブル崩壊後の1993年ごろから2005年ごろにかけて厳しい就職状況が続いた時期を指し、この時期に学校を卒業して就職した世代が就職氷河期世代と呼ばれる。現在、30代半ばから40代後半の年齢層だ。さらに、08年のリーマン・ショック後の数年間も、第2次就職氷河期と呼ばれることがある。

 この問題に関する連合総研の研究報告は、就職氷河期世代の苦しい状況を明らかにしている。最も衝撃的なのは、賃金の落ち込みだ。厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づき、10年と15年の毎月の平均給与を年齢層・学歴別に比較したところ、給与額が多くの年齢層で増加している中で、氷河期世代に相当する年齢層ではいずれも減少していることが分かった。

 中でも15年の大学卒・大学院修了の40~44歳は、10年の同年齢層(5歳上の年齢層)と比べて、毎月の平均給与が2万3300円も減っている。就職氷河期以前の世代との間に賃金水準で明確な断絶が生じている。

 氷河期世代では長期雇用が一般的ではなく、幸福感が上の世代より低いことなども判明した。中高年のひきこもりや長期失業者など就労困難者には、氷河期世代が少なからず含まれている問題もある。

 こうした氷河期世代の苦境について「職業に対する姿勢が甘いからだ」といった自己責任論が唱えられることがあるが、明白な誤りである。この問題が生じた背景は、1990年代から続いた経済の長期低迷とそれに伴う雇用の縮小だ。原因は政府、日銀の経済政策で、その責めを個人に負わせてはならない。

 それと並行して、この時期から長期雇用、年功型賃金などを柱とする日本型雇用慣行が大きく変化し、非正規雇用の拡大が進んだことの影響も大きいと考えられる。

 最近の研究によると、初めて就いた職業がその後の働き方や所得、結婚、メンタルヘルスなどに長期的な影響を及ぼすという結果が得られている。例えば新卒時に正社員として採用されなかった人は、能力の低い人材と見なされ、雇用が回復しても有利な職を得るのが難しい。氷河期世代の多くが30~40代に至るまで苦労を強いられている原因はこれだろう。

 仮にこの世代の現状について無策に近い状態を続けるなら、今後、高齢化の進行により、生活保護受給者の増加やそれに必要な予算の膨張などが、社会的・財政的コストの深刻な増大を招く恐れがある。政府は就職氷河期世代の支援を労働行政の最優先課題の一つと位置付けるべきだ。

 氷河期世代には、20代に十分な能力開発の経験がなかった人が多い。まず中高年を対象とする能力開発への支援強化を求めたい。就労困難者を支援する人材の育成も必要である。氷河期世代にとどまらない対策として、実効性ある同一労働同一賃金の実現など非正規対策全般の拡充が重要なのは言うまでもない。

2018年4月15日 無断転載禁止