「名残惜しい」じっくり鑑賞 出雲・平野勲記念館が閉館

閉館日を迎え、多くの人でにぎわう平野勲記念館
 全国の祭りを描いたことで知られる島根県出雲市出身の漫画家・故平野勲さんの作品を集めた出雲市大津町の記念館が15日、建物の老朽化のため閉館した。住民有志が、平野さんの暮らした古民家を改修し開館してから10年余り。最終日は、市民らがオープンと同時に大勢詰めかけ、平野さんの温かみのある絵をじっくりと鑑賞し、閉館を惜しんだ。

 平野さんは1961年に上京。75年に日本漫画家協会賞を受賞し、2010年10月7日、青森県三沢市で、87歳で亡くなった。

 記念館は、平野家や収集家の団体・個人から1千点余りを譲り受けて07年10月に開館。発起した住民有志が運営委員会(10人)を組織し、ボランティアの協力を得て、季節ごとに作品を入れ替えて約40点を並べ、約1万2千人が訪れた。

 一方、築90年を超える建物は劣化が進み、湿気や乾燥対策など作品の保管体制にも限界が生じてきたため、運営委員会で協議し、昨年末に閉館を決めた。

 最終日は、出雲の春をテーマに、乙立神楽や出雲大社の大祭礼、高瀬川の流しびななどを描いた作品に、来場者が一つ一つ足を止めて見入った。近所の竹内幸悦さん(73)は「古風な建物の中で見る絵がなんとも良かったが、先日のような大きい地震を踏まえると仕方がない」と話した。

 運営委員長の中村吉雄さん(77)は「施設はなくなるが、古里を思う平野先生の思いは消えないと信じている」と話した。

 16日は記念館がある西光寺の本堂で閉館式がある。

2018年4月16日 無断転載禁止