昭和の2本立て映画

 時に2人の天才が手を組んで、素晴らしい作品を紡ぐ事がある。ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニー。映画史に輝くSFや活劇を生み出したジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグ▼アニメ界なら文句なく宮崎駿さんと、5日に亡くなった高畑勲さんだろう。代表作「火垂(ほた)るの墓」は1988年の公開当時、宮崎さん監督の「となりのトトロ」との2本立てだった▼今では見かけなくなった上映方式だが、ついでのつもりで見た方が当たりだったりする。映画好きにとっては、ひそかな喜びだった。2作品を公開当時の劇場で見た感想は、当たりくじを一度に2本引いた気分。今にして思えば、なんとぜいたくなラインアップか▼高畑さんの作品はぬくもりがあるのに、見終わった後ずしりとくる。「火垂るの墓」は野坂昭如さんの直木賞受賞作が原作で、終戦直後の孤児の悲劇。反戦への思いが痛いほど伝わる。コメディー「平成狸(たぬき)合戦ぽんぽこ」では、多摩丘陵のタヌキたちが都市化するすみかに残るか、出て行くかの、シビアな二者択一を迫られる▼勧善懲悪、ハッピーエンドのそれまでのアニメとはひと味違った。興行収入は宮崎さんの方がダントツなのだが、作品の存在感は甲乙付けがたい▼子ども向けが主流だったアニメを大人もうならせる作品に昇華させたのは2人の功績。その分岐点がくしくも昭和最後の春になった30年前のきょう封切りされた2人の2本立て。「クールジャパン」も、ここから始まった。(示)

2018年4月16日 無断転載禁止