三江線代替バス/路線維持に背水の陣を

 JR三江線が廃止された後の代替バス運行が今月からスタートした。江津市と広島県三次市を結ぶ108キロの鉄道をバス運行が肩代わりすることになるが、利用者をどの程度確保できるか採算性を巡る見通しは厳しい。

 人口減が進む沿線地域の実情を考えると、鉄道からバスに転換しても利用者を増やすのは容易ではない。利用者が減ってバス路線が減便、廃止されれば、沿線住民は公共交通手段を失うことになり、交通過疎で地域の衰退を招く負の循環に陥りかねない。それを断ち切るために沿線地域が危機感を共有し、最後の地域の足として守る覚悟が問われる。

 大量定時輸送を担う鉄道に比べ小回りの利くバス輸送は、乗車ニーズによりきめ細かく対応できるのが特長である。それを生かして地域の移動ニーズを掘り起こしながら、持続可能なバス路線として根付かせる工夫が必要だ。

 島根、広島両県や沿線6市町が策定した沿線地域の公共交通再編実施計画は18路線を設けた。三江線ルートに沿って代替路線を走らせるとともに、補完する形で各市町を循環する路線を新設。病院や高校など主要施設にアクセスしやすいよう路線網やダイヤを設定した。

 バス転換に伴って主要区間運賃は鉄道に比べ1.2~2.1倍に上昇するが、通学利用者に対する定期券購入補助など負担軽減策を各市町で実施する。

 バスならではの小回りを生かせるよう停留所以外でも乗り降りできるフリー乗降区間を設けたり、予約に応じて走らせるデマンド型乗り合いタクシーも導入したりする。

 その上で効率的な運行を追求するため、さらに工夫も求めたい。マイカーを利用したライドシェア(相乗り)サービスもその一つだ。マイカーで出かける場合、近所の人も相乗りして運行経費を抑える試みだが、ドライバーと利用者を引き合わせる仕組みづくりに自治体など公共部門が主導的な役割を果たす方法もあるのではないか。

 普及はまだ途上にあるが、安全性を確保したうえで中山間地域での新たな移動手段モデルとして取り組んでみるべきだろう。

 最大の課題はバス運行赤字を抑えて路線を維持していくことである。運行に伴い、国や県の補助金を差し引いても年間1億1600万円の赤字が見込まれている。

 バス転換に伴いJR西日本が運行経費に対し8億円の支援金を出すが、この支援金を赤字補ほてんに充てたとしても7年で使い果たす。その後は沿線市町の負担で赤字を埋めていかなければならない。

 さらに三江線代替バス運行に限って緩和されている国の補助金の支給基準も5年後に見直され、将来補助金が減額される懸念も残る。

 補助金による公共交通の赤字補ほてんに対し、国は事業者の経営努力を求めて厳しくする方向とみられるが、努力の限界を超える部分に対して経営支援を惜しむべきではない。 マイカー依存の生活が公共交通を追い詰めてきた一面は否定できないが、今はマイカーを運転できても高齢化に伴い将来困難になることも予想される。最終的に頼りにできるのは公共の足であり、その意義を利用促進に込めたい。

2018年4月16日 無断転載禁止