日中外相会談/新たな共生関係目指せ

 河野太郎外相は、来日した中国の王毅外相(国務委員)と会談し、日中関係の改善に向け安倍晋三首相と習近平国家主席の首脳相互訪問を推進することで一致した。中国の李克強首相が出席して5月に東京で開く日中韓3カ国首脳会談の準備加速も確認した。

 2012年9月の尖閣諸島国有化で悪化した日中関係は約6年ぶりで修復の軌道に乗り始めた。良好な関係は両国と両国民の利益であり、日中平和友好条約40年に際した関係改善を期待したい。

 ただ、中国の台頭という歴史的な変化に即し、一衣帯水の日中はアジアで「両雄」並び立つ新たな共生関係を構築する必要がある。これは容易ではなく、率直な安全保障・政治対話や経済、民間交流を通じて辛抱強く信頼醸成を続けていくことが不可欠だ。

 両外相は「協力のパートナー」として日中が互いに脅威とならないことを確認。東シナ海を「平和、協力、友好の海」にする方針で改めて一致し、偶発的な軍事衝突回避のための「海空連絡メカニズム」の正式合意に向けた詰めの作業の加速で合意した。緊張緩和の動きを歓迎したい。

 昨年、安倍首相は中国が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に条件付きで支持を表明し、習氏に相互訪問を呼び掛けた。日本は中国による南シナ海の軍事拠点化に反対してきたが、直接的な対中批判は抑制し、対中「けん制」から「融和」に軸足を移した。中国はこれを評価し、関係改善の兆しが出てきた。

 中国公船の尖閣領海侵犯は月3日程度だったが、昨年8月以降は2日程度に減った。中国側も日中関係の修復に向け配慮をしているようだ。

 外相会談では、北朝鮮による核・ミサイル廃棄を実現させるため、国連安全保障理事会の制裁決議を完全に履行し、日中が緊密に連携する重要性を確認した。中国は北朝鮮と伝統的な友好関係を有し、影響力を持つ。今後の南北・米朝首脳会談を通して進展が期待される北朝鮮問題に対処するためにも中国とのパイプは極めて重要だ。

 両外相を共同議長として約8年ぶりに開かれた「ハイレベル経済対話」で、王氏は一帯一路などでの経済協力について、日本側と「対話を深めたい」と強調した。

 世耕弘成経済産業相と中国の鍾山商務相は経済対話を前に会談し、世界貿易機関(WTO)を中心とする自由貿易体制の維持が重要との認識で一致、トランプ米大統領の保護主義をけん制する協調路線を示した。日中関係の改善により、経済のほか、地球温暖化やテロ対策、軍縮核不拡散などグローバルな問題での協力が強まるよう期待したい。

 一方、安全保障や政治の民主化についての対話も重要だ。習氏は「世界一流の軍隊づくり」を掲げて強軍・強国路線を打ち出す一方「人類運命共同体」構築を理念として一帯一路を提唱する。強国と共生の整合性が取れず、習氏の独裁体制強化も重なり、新・中国脅威論が出てきた。

 世界や地域にとって「平和的な外交・安保政策」「民主的な政治体制」「公正で安定した経済体制」を有する中国が望ましい。日本は関係修復と強化の対話の中で、中国にこの3条件の有言実行を促していきたい。

2018年4月17日 無断転載禁止