女子ログ 「寂しい」という言葉

 直島に引っ越してきて以来、仲の良い同期の友人が「寂しい」という言葉をよく使う。家族のいる関東から移住して1人暮らしが初めてだから、寂しい気持ちになることが多いのだそうだ。

 私はその度に、少し戸惑ってしまう。これほど無防備さや不完全さを露呈する言葉はないし、強がりな私はたとえそう思ったとしても、決して使わないから、反応にも困ってしまうのだ。

 ところが先日、この言葉が出てきたことがあった。近所のレストランのオーナーがお店を閉めて海外旅行に出ており、店の前を通りかかるたびに悲しくて、心に穴が開いたような気持ちだったので、帰国したオーナーを通りで見かけた時につい「お店が閉まっていて寂しかったです」と言ってしまったのだ。

 口に出してみるとこの言葉はネガティブなものではないことに気付いた。寂しいというのは、当たり前だと思っていた何かが遠ざかってしまった時に、その人やものの大切さを伝える言葉。きっと素直に使って良いのだ。

 実は最近、一つ寂しく思っていることがある。上司が自分の業務で忙しく、部下の私をあまり叱ってくれないことだ。仕事が落ち着いてまた叱咤(しった)を受ける機会があればぜひこう言おう。「しばらく怒ってもらえず寂しかったです」。上司の反応が楽しみだ。

(雲南市出身、香川県直島町在住・ゆかりんご)

2018年5月8日 無断転載禁止