コウノトリが子育てする町

 親鳥が頻繁に巣に戻って、餌をせがむひなの頭が遠目からも見えるようになった。雲南市大東町大東下分に巣を作った国の特別天然記念物コウノトリのつがいのひなが4羽とも順調に育っている▼親鳥は雄の「げんきくん」と雌の「ポンスニ」。ポンスニは韓国に飛来した際に名付けられ「ポンファ村の女の子」を意味する。げんきくんは昨春も同じ場所で巣を作ったが、ハンターの誤射でお相手の雌が死んだ▼げんきくんが同じ場所で巣作りを始めた2月はポンスニを追い払っていた。ほどなく2羽は誤射の悲劇を越えて結ばれ、昨年と同じ4羽のひながふ化した。昨年はひなが保護されただけに、住民たちは「今年こそ現地で育って」と願う▼兵庫県立コウノトリの郷公園によると、コウノトリは同じつがいで同じ場所で繁殖し、相手が変わることもある。同公園がある豊岡市では11年続けて同じつがいで繁殖活動する事例がある。げんきくんたちが子育てに成功すると絆が強まり、来年も行う公算が大きい▼親鳥が成育の悪いひなを間引く例もある。4羽そろって大きくなっているのは、雲南は主食のドジョウなど餌が豊富な証し。げんきくんの家族以外にも3羽が生息中で、別のカップルが誕生するかもしれない▼餌になる生き物が豊かでコウノトリが子育てに選ぶ町として、定着する可能性が出てきた。保護するのはもとより、人とコウノトリが共生する環境をどうつくるのか。雲南市がまちづくりの視点から具体策を打ち出す時期に来ている。(道)

2018年5月10日 無断転載禁止