世事抄録 デジタルと活字

 最近、IT(情報技術)の革新に伴い本業が厳しい経営環境に陥っているという話をよく聞く。今回はインターネット社会成熟の影響を直接受けた新聞社や書店などの活字を扱う業界について思いを巡らせてみたい。

 私は本好きで長い時間本屋という落ち着ける空間に滞在できるし、年間かなりの金額を本や雑誌の購入費に充てている。また新聞は朝一で目を通すし、仕事柄、地元紙以外も複数紙を読むようにしている。逆に読まないと情報不足で気持ちが落ち着かないというか、何となく不安にもなる。

 だがネット上ではリアルタイムで最新情報がアップされ、スマホが新着情報をすぐに知らせてくれる。即時性という面では申し分ないし、同時に異なるメディアの情報が比較対照できるメリットもある。となると新聞や本は将来、まさかの文化遺産として博物館行きになってしまうのだろうか。でも紙と文字は人類史上、最も信頼性が高い記録媒体であり、われわれはその恩恵に長年浴してきた。

 一方のデジタルデータは膨大な量の情報をコンパクトに収録でき、一見ハードな外観から保存性能も高いと推察される。だが文章の保存手段として歴史の立証を経ていない弱点がある。判断はまだ先かなと思いつつ、私は業界の行く末を心から心配している。なくなると本当に困るから。

 (雲南市・マツエもん)

2018年5月10日 無断転載禁止